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【コラム】まるで投網銃 驚きの狩人クモ

更新日 : 2019/5/17

クモの巣というものは、獲物がかかるのをじっと待つだけの受動的な罠だと考えている人が多いだろう。 ところが、それよりも進んだ巣を作るクモもいる。たとえば、世界各地で見られるオウギグモは、糸の張力を利用して狩りの道具にする。

5月13日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された論文によって、オウギグモの1種であるHyptiotes cavatusの巣が、恐ろしいほどのエネルギーを蓄え、放出していることが明らかになった。 彼らの巣は扇形で、支点にあたる部分から1本の糸が木に向かって伸びているように見えるが、その間には自分自身がいる。 虫がクモの巣にぶつかると、オウギグモは木にとめていたほうの糸を解き放つ。すると、獲物に向けて巣とともに自らが発射される。このときに、粘着性のある糸にまず獲物がくっつく。続けて、木にとめたほうの糸によってクモの動きが突然止まり、その反動で今度は巣が逆方向に引っ張られるおかげで、虫が巣にくるまれて一丁上がりというわけだ。
「まるで投網銃のように」この巣は機能すると、論文の共著者で、米オハイオ州アクロン大学の博士課程に在籍するダニエル・マクスタ氏は言う。研究によるとこの“銃”の加速度は、770m/s2を超えた。これは重力による加速度のおよそ80倍、NASAのスペースシャトルの最大加速度の26倍にあたる。
ガの幼虫など、糸を出す無脊椎動物はクモ以外にも存在するものの、「多様な用途や機能を持つという点で、クモには遠く及びません」と、米カンザス大学の古生物学者であるポール・セルデン氏は言う。 糸の使いみちは、クモの種類(4万5000種以上)とほぼ同じだけ存在するが、糸を投げるナゲナワグモ、巣穴の蓋を糸で作るトタテグモ、静電気を利用して空を飛ぶ赤ちゃんグモといった変わり種の中でも、オウギグモは特筆に値する。「この捕獲システムがこれ以上進化することは考えられませんし、これに匹敵する捕獲網を作っているクモがほかにいるとも思えません」と、セルデン氏は言う。
オウギグモについては、まだ解明されていない興味深い謎もいくつか残っている。たとえば、張り詰めた巣を保持しているときに膝を曲げているように見えるが、こうした姿勢は大半の動物にとって非常に疲れるはずだ。「彼らはどうやってその姿勢を保っているのでしょう」とハン氏は言う。その答えは、今後の研究で明らかにする予定だ。
 

扇形に糸を張るオウギグモ(ウィキペディアより


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