家の中を飛ぶ小さい虫を駆除しても、また出てきます。どこから湧いているのか突き止める方法と、根本から止める手順を教えてください
大阪市内の分譲マンションにお住まいの方から、こんなご相談をいただきました。市販のスプレーで飛んでいる虫を落とし、キッチンも浴室も掃除した。その日はいなくなるけど、3〜4日たつと、また同じくらいの数が飛んでいる。この繰り返しが1か月以上続いている、というお悩みです。
飛んでいる成虫を落としても数日で戻るなら、どこかで幼虫が育ち続けています。まず発生源を1か所に絞り込んでください。

殺した成虫の数と、虫が減るかどうかは関係しません。飛んでいる虫は、すでに羽化を終えた「結果」だからです。数日で同じ数に戻るのは、幼虫が育っている場所が家のどこかに残っていて、そこから次々と羽化しているサインになります。
対応するべき順番は、次の4つです。
- 飛び方と出る時間帯で、屋内で湧いた虫か、外から入ってきた虫かを分ける
- 48時間、部屋ごとに条件を変えて、どの空間から湧いているかを絞り込む
- 絞り込んだ発生源(排水管の内側・鉢の土・生ゴミ・畳)を物理的に断つ
- 成虫が残っていれば、そこで初めて薬剤を限定的に使う

この順番は、私たちトータルクリーンが勝手に決めたものではなく、厚生労働省が特定建築物の防除方法として示している総合的有害生物管理(IPM)の要領でも、「まず、環境整備を含めた発生源対策、侵入防止対策等を行う」と明記されています。
出典:厚生労働省「第6章 ねずみ等の防除 ― IPM(総合的有害生物管理)の施工方法 ―」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei09/pdf/03g.pdf
つまり、まず先に見極めをするべきということです。
東京都も「薬剤処理をすることだけが『防除』ではありません」と述べたうえで、清掃や整理整頓によって「発生源をなくすことがまず何よりも重要である」としています。
出典:東京都保健医療局「7 ねずみ、衛生害虫等の点検・防除」https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/107nezumi
マンションの場合、もう一つ見落としがちな落とし穴があります。発生源が自分の住戸ではなく、共用の排水設備側にあるケースです。
この場合、部屋をどれだけ掃除しても止まりません。
実際に当社では、大阪市住吉区のマンションで、1階共用部の排水口とグレーチングの内側から大量発生していたチョウバエに対応した事例があります。

駆除事例:大阪市住吉区・マンション共用部のチョウバエ駆除の事例
何度も同じような小さな虫が繰り返し出るなら、ご自分だけでの対策では限界かもしれません。トータルクリーンではお見積りを無料でお受けしています。市役所などからも多く駆除相談を受ける駆除業者ですのでお困りの方は一度お問い合わせください。
今回は、関西エリアで創業50年以上のトータルクリーンで害虫駆除の技術管理を担当している三浦が回答と解説をしていきます。
それでは、詳しくみていきましょう。
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飛び方と出る時間帯で、家の中で湧いた虫か外から来た虫かを分ける
最初にやることは、「屋内で湧いたのか、外から入ったのか」の二択を決めることです。
ここを間違えると、掃除する場所が丸ごと外れるためです。
判断材料は、飛び方・出てくる時間帯・最初に見つかる場所の3つです。
この組み合わせで候補はかなり絞れます。
家の中で飛んでいる小さい虫の多くは、1〜5mmほどのハエの仲間で、まとめて「コバエ類」と呼ばれています。
出典:札幌市保健福祉局保健所生活環境課「コバエ類/札幌市」
| 飛び方・動き | 最初に見つかる場所 | 時間帯 | 疑わしい虫 | 湧いた場所 |
|---|---|---|---|---|
| ふわりふわりと浮くように飛び、壁や窓ガラスに止まっている | 浴室・洗面所・トイレ・キッチン | 時間帯を問わない | チョウバエ | 屋内(排水設備の内側) |
| 跳ねるように素早く動き回る | 三角コーナー・ゴミ箱・排水口 | 時間帯を問わない | ノミバエ | 屋内(生ゴミ・排水管内) |
| ゆっくり飛び、目の赤い小さな虫 | 果物・ぬか床・空き缶 | 夕方以降に目立つ | ショウジョウバエ | 屋内(発酵物) |
| ごく小さく、網戸や窓の外側にも群れている | ベランダ側の窓・玄関 | 夜明け〜午前10時ごろ | クロバネキノコバエ | 屋外+植木鉢の土 |
| 夕暮れに柱状に群れ、照明に集まる | 窓・外壁・洗濯物 | 夕方から夜 | ユスリカ | 屋外(川・側溝) |
| 茶色く硬い体で、明かりに向かって飛ぶ | 畳・食品棚 | 夕方から夜 | タバコシバンムシ | 屋内(畳床・乾物) |
ご自宅がどの行に当てはまるか確かめてみてください。上から3行なら発生源は家の中、下から3行なら屋外かベランダの鉢が疑わしくなります。
見分けの決め手は、チョウバエ特有の飛び方です。
京都市衛生環境研究所は、チョウバエについて「台所,お風呂場など湿気の多いところで,フワリ,フワリと浮かんでいるように飛んでいたり,壁面や窓ガラスなどで静止しています」と説明しています。
体長はオオチョウバエで5mm、ホシチョウバエで2mm程度、全身が細かい毛に覆われているのが特徴です。
出典:京都市衛生環境研究所「衛生動物シリーズ⑩(チョウバエ)」
同じ小ささでも、ノミバエは正反対の動きをします。体長1.5〜2.0mmで後脚が発達しており、跳ねるように素早く動き回る点が特徴です。
出典:名古屋市衛生研究所「小型のハエ類」
外から来る虫にも見分け方があります。
クロバネキノコバエは体長1〜2mmで、京都府の保健所によると「雨が降った翌日に晴れると、多く発生」し、1日のうちでは「朝方(夜明け~午前10時頃)に多く発生」します。
朝だけ大量に現れて昼には落ち着くなら、この虫を疑ってください。
出典:京都府南丹広域振興局南丹保健所「クロバネキノコバエについて」
どの部屋から湧いているのかを突き止める手順
飛び方で候補が絞れたら、次は場所の特定です。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところになります。
多くの方は家中を一斉に掃除してしまいますが、それでは「どこが効いたのか」が分からず、再発したときに同じ徒労を繰り返すことになります。
やり方はシンプルです。
家を部屋ごとに区切り、48時間かけて条件を変え、羽化してくる場所を1か所ずつ潰していく対応をとると、発生源の特定に繋がりやすいです。
結構めんどうではありますが、以下の手順で対応するといいです。
- 1日目の朝、各部屋のドアをすべて閉め、飛んでいる成虫をできる限り取り除く
- 浴室・洗面所・キッチン・寝室・リビングに、めんつゆトラップか粘着シートを1枚ずつ置き、位置と時刻をスマホで撮影しておく
- 24時間後、部屋ごとに捕れた数を数えて比べる
- いちばん多かった部屋だけ、翌24時間は排水口に蓋をする、鉢を屋外に出す、生ゴミを密閉するなど条件を1つだけ変える
- 2日目の数が明確に減れば、その条件が発生源です

大切なのは、条件を一度に1つしか変えないことで、同時に3つ変えると、どれが効いたのか分かりません。
数の見方にもコツがあります。目安として、こう考えてみてください。
| 24時間の捕獲数 | 読み取れること | 次の一手 |
|---|---|---|
| 1部屋だけ突出して多い | その部屋に発生源がある | その部屋の水回り・鉢・ゴミを1つずつ潰す |
| どの部屋も同じくらい | 成虫が家中に分散済み、または共用部から流入 | 玄関・窓・排水管の侵入経路を先に確認する |
| 窓際・ベランダ側だけ多い | 屋外由来の可能性が高い | 網戸の目の細かさと照明の色を見直す |
| 2日目も数が変わらない | 変えた条件は発生源ではなかった | 別の条件を1つ変えて、もう24時間 |
排水管の中のヘドロで育つチョウバエが掃除した翌日にまた出る理由
発生源の特定のためのテストで浴室や洗面所が浮かんだなら、犯人はチョウバエの可能性が高くなります。そして、この虫が、掃除したのにまた出る小さい虫の代表格です。

理由は、幼虫がいる場所にあります。目に見える排水口のフタや髪の毛の上ではなく、その奥の汚泥の中でチョウバエの幼虫は育ってるんです。
名古屋市衛生研究所によれば、幼虫は「腐敗物が混じった汚水、排水溝、浄化槽、汚水だまりなど」から発生し、「台所や風呂場の排水設備内で発生することもよくある」とされています。
出典:名古屋市衛生研究所「チョウバエ類」
なので、排水口のフタを外してブラシで擦る掃除では、本丸には届かずに、翌日また羽化してくるんです。
もう一つ、見落とされがちな原因があります。
それは排水トラップの水切れで、浴室や台所の排水口には、下水管から臭いや虫が上がってこないよう水をためる仕組みがあります。
防臭弁と呼ばれ、「この防臭弁がひび割れなどで水が溜まらなくなると下水管から臭いや虫が上がってきます」と説明したうえで、長期間使わないと防臭弁の水が乾燥し、役割を果たさなくなるといわれています。
出典:京都市衛生環境研究所「衛生動物シリーズ⑩(チョウバエ)」
普段使っていない浴室、来客用のトイレ、洗濯機の防水パンの排水口の3か所は水が乾きやすく、下水側と部屋がつながった状態になりがちです。心当たりがあれば、コップ1杯の水を流すだけで通り道をふさげます。
チョウバエの防除について、東京都は「発生源を見つけて清掃するのが一番ですが、発生してしまったチョウバエに対しては家庭用のエアゾール型殺虫剤が有効です」としています。
出典:東京都保健医療局「7 ねずみ、衛生害虫等の点検・防除」
順番としては、清掃が先、スプレーは後です。
観葉植物の鉢と三角コーナー、どちらが原因かを見分ける
もしも今まで説明してきた水回りが白だった場合、次に疑うべきなのが、土と生ゴミ周りです。症状は似ているのに、対処法がまったく違います。見分けの鍵になるのが、虫の種類と出てくる時間帯です。

観葉植物の鉢が発生源のとき
クロバネキノコバエが疑わしくなります。
「水分を適度に含んだ腐葉土などのある場所(野山、畑、植木鉢等)に産卵」し、20日間程度で成虫になるとされており、鉢の受け皿に水がたまっている、土の表面がいつも湿っている、といった状態が続いていないか確かめてください。
生ゴミ・排水管が発生源のとき
ノミバエが疑わしくなります。幼虫の発生源は「台所の厨芥、汚水溝、排水管内」とされ、好条件下では卵から成虫まで約2週間で育ちます。三角コーナーを2日空けただけで羽化が間に合う速さです。
果物・お酒・調味料が発生源のとき
ショウジョウバエが疑わしくなります。成虫の体長は約2mm、幼虫は「熟した果実、果物の皮、酒、味噌、しょう油など」で育ち、「春から秋に見られるが、特に秋に多い」とされる虫です。
畳や食品棚が発生源のとき
タバコシバンムシが疑わしくなります。体長2〜3mmの赤褐色で光沢のある甲虫で、乾燥食品のほか「畳のワラ床にもよく発生する」とされる虫です。やっかいなのは、この虫にシバンムシアリガタバチという寄生バチがつき、その寄生バチが人を刺す被害も知られている点。
鉢が犯人だった場合、植物を捨てる必要はありません。受け皿の水を捨て、表土を乾かし、土の表面を無機質の材料で覆うだけで産卵場所が消えます。生ゴミが犯人なら、捨てる頻度より密閉のほうが効きます。
畳のケースは、食品を全部確認しても発生源が見つからないときに疑います。畳床の内部で育っていると、表面をいくら拭いても止まりません。
隣の部屋や共用の排水管から来ているときの見分け方と、管理会社への伝え方
自分の家の水回りも鉢もゴミも潰したのに小さい虫が出る場合、分譲マンションや賃貸マンションでは、「自分の住戸の外」を疑う必要が出てきます。

集合住宅では、住戸の排水が共用の縦管を通って地下の排水槽へ集まります。
もし、この槽の管理が行き届かないと、そこが巨大な発生源に変わってしまうんです。
つまり、自分の家がどれだけ清潔でも、建物側に発生源があれば虫は上がってくるんです。
共用部が疑わしいかどうかは、次のサインで見当がつきます。
- 浴室やトイレの換気扇を回すと、虫が出てくる量が増える
- 使っていない排水口のまわりに集中している
- 掃除の直後でも、数時間で同じ場所に現れる
- 上下階や隣室でも同じ虫を見た、という話を聞いた
- 共用廊下やゴミ置き場、駐車場のグレーチング付近にも飛んでいる
2つ以上当てはまるなら、管理会社か管理組合へ連絡してください。
伝えるときは「虫が出ます」ではなく、調べた事実を並べて伝えると効果的です。
発生した日付と時間帯、部屋ごとの捕獲数、飛んでいた虫の写真、自分の住戸で実施した対策の4点があると、建物側の調査が動き出すのが早くなります。
問い合わせ窓口は賃貸なら管理会社、分譲なら管理組合か管理会社です。
当社が対応した大阪市住吉区のマンションでも、発生源はマンション1階共用部の排水口とグレーチングの内側でした。幼虫の発生を抑える薬剤と残効性のある薬剤を使い、水がたまる場所そのものに手を入れています。住戸の掃除では、どうやっても届かない場所です。
くん煙剤とスプレーで再発する構造。効く順番と効かない順番
家の中に度々出現する小さい虫は、くん煙剤を焚いてもあまり効かないのが実情です。
くん煙剤の薬剤は空気中を漂い、露出した面に付着するメカニズムですが、幼虫がいるのは、排水管の内側、排水マスの汚泥の中、鉢の土の中、畳床の内部です。いずれも空気の通り道から遮断された場所ばかりなので、効きにくいんです。
市販グッズなどの手段ごとの手ごたえを、現場の経験から整理してみます。公的な効果試験のデータではありませんが、現場で多くの害虫駆除にあたってきた施工者としての実感を記載します。
| 手段 | 届く範囲 | 幼虫への効果 | 数日後に再発するか |
|---|---|---|---|
| くん煙剤 | 室内の露出面と空間 | ほぼ届かない | する(発生源が残るため) |
| エアゾールスプレー | 噴射した成虫と表面 | 届かない | する |
| 粘着トラップ | 飛来した成虫のみ | なし | する(ただし調査には有効) |
| 排水管・排水マスの清掃 | 汚泥・スカムの内部 | 直接除去できる | しにくい |
| 鉢の乾燥・受け皿の水抜き | 土中の産卵場所 | 産卵を止められる | しにくい |
| 幼虫対象の薬剤処理 | 水域・汚泥内部 | 幼虫に直接作用する | しにくい |
上3つと下3つの違いは、成虫を相手にしているか幼虫を相手にしているかです。
前述したように、上3つだけを繰り返す限り、3〜4日ごとの再発は止まりません。
大阪・神戸の梅雨と、築古マンションの排水トラップ事情
我々トータルクリーンが関西で50年、120,000件以上の現場に入ってきた実感として、大阪・神戸などのエリアのご家庭で飛ぶ虫のご相談が増えるのは、梅雨入り前後と、残暑が長引く9月頃までです。理由は湿度と、建物の作りの両方にあります。
大阪湾沿いの平地は風が抜けにくく、梅雨から夏にかけて室内の湿度が下がりくい環境です。浴室のドアを閉めきったままにすると、排水口まわりの汚れが乾かず、チョウバエの幼虫が育つ条件がそろってしまいます。神戸の斜面地では朝晩の気温差で結露しやすく、押入れや北側の部屋にカビが出ます。カビを餌にするチャタテムシが増える環境です。
また、築20年を超えたマンションでは、排水トラップの封水切れに当たる件数が体感的に増えます。ゴム部品の劣化に加え、在宅時間の短いお住まいでは水が乾きやすいためです。転勤やご旅行で1週間ほど家を空けたあと、急に虫が増えたというご相談は結構多いです。
関西ならではの事情として、屋外由来の虫もあります。滋賀県は琵琶湖周辺で発生するユスリカを「びわこ虫」として案内しており、オオユスリカは3月〜6月と9月〜10月、アカムシユスリカは11月〜12月に発生すると注意換気しています。成虫には「高いところや光に集まる習性」があり、対策として外灯を消す、遮光する、洗濯物を屋内に干すことが挙げられています。
出典:滋賀県琵琶湖保全再生課「びわこ虫(ユスリカ)の対策について」
まとめ:飛ぶ小さい虫は、殺した数ではなく発生源の数で決まります
ここまでご説明してきたように、家の中の小さい虫を退治するために重要なのは、根本的な対策です。
羽化してくる場所が残っていると、虫そのものを駆除しても度々発生するという仕組みなんです。対応方法を以下にまとめましたので、改めて一読ください。
- 今夜、飛び方と時間帯を観察して、屋内で湧いた虫か外から来た虫かを決める
- 明日から48時間、部屋ごとにトラップを置いて数を比べる
- 多かった部屋で、条件を1つだけ変えて翌日の数を見る
- 使っていない排水口にコップ1杯の水を流し、封水切れをふさぐ
- 1週間たって数が横ばいなら、共用部を含めた建物側を疑う
関連記事:家の中にミリ単位の小さい虫を見つけたのですが、何の虫ですか?どう対策すればいいかについても教えてください
自分で対策するのに限界を感じた方は、一度トータルクリーンまでお問い合わせいただければと思います。


