- シロアリ予防で使用する薬剤の種類
- シロアリ予防で使用する薬剤ごとの特徴
- 自分でシロアリ予防をする際の薬剤の選び方と注意点
この記事では、シロアリ予防で使用する薬剤について、種類や薬剤ごとの特徴などについて解説していきます。
シロアリ予防を行う際には、目的や意図に沿って薬剤を選ぶことが大切です。
薬剤ごとに特徴や強みなどが異なるため、ぜひともこの記事を通じてシロアリ予防の薬剤について情報を入手してください。
目次
シロアリ予防で薬剤を使用する理由
そもそも、シロアリを予防するのに薬剤を使用する必要があるのはなぜでしょうか。
端的に述べると、「薬剤を使用することでシロアリの侵入や繁殖を防ぎ、かつその効果が広範囲で長期間に渡って継続することを目的にするため」です。
シロアリ用の薬剤は神経系に作用して生体機能を阻害したり、食毒性を有してエネルギー代謝機能を阻害したりする働きがあり、そうした機能を利用してシロアリを排除するために薬剤を使用する必要があるのです。
シロアリ予防で使用する薬剤の種類
シロアリ予防で使用する薬剤の種類としては、代表的なものとして主に「ネオニコチノイド系」「ピレスロイド系」「ホウ素系」などがあります。
現場の状況や物件の特徴、お客様の希望などを考慮して適した薬剤を使用してくことになります。
ここからそれぞれの薬剤について解説していきます。
ネオニコチノイド系の薬剤
シロアリ予防で最もポピュラーとされるバリア工法で使用されることが多い農薬系の薬剤です。
植物のニコチンに似た化学構造を持つ合成殺虫剤でシロアリの神経系に作用して麻痺を起こす効果があります。徐々に効き目が出てくるという特徴があり、シロアリの警戒心を和らげるという特徴もあります。また、木材の防腐剤としても使用されるため、シロアリ予防と合わせて木材の保存効果も期待できます。
当社では主にバイエル社のハチクサンを用いており、ハチクサンは公益社団法人日本しろあり対策協会と公益社団法人日本木材保存協会の認定薬剤です。その他ではオプティガード、ステルスSC、アジェンダSCといった薬剤を当社ではシロアリ防除において使用しています。(※各商品ともに公益社団法人日本しろあり対策協会と公益社団法人日本木材保存協会の認定薬剤です。)
ピレスロイド系の薬剤
ピレスロイド系の薬剤は、天然のピレトリンから合成された化学物質で、広範囲の害虫に対して高い殺虫効果を持ち、ネオニコチノイド系と同じく農薬系・神経毒性の薬剤です。
ピレスロイド系の薬剤としてはペルメトリンなどが挙げられます。
シロアリはピレスロイド系の薬剤に対して忌避性(嫌がって避ける性質)を持つ傾向にあるため、撒きむらを無くすための作業員には一定の技術力が求められます。
ホウ酸塩を有効成分とした薬剤で、非農薬系です。アメリカやヨーロッパではシロアリ予防においてホウ素系の製品が使用されることが多く、近年日本でも使用されるケースが増加しています。
ホウ酸を摂取したシロアリはエネルギーの代謝機能が阻害され、結果的に餓死することになるメカニズムとなっており、食毒性の作用を持っています。また、ネオニコチノイド系と同じく防蟻効果に加えて木材を守る性能もあると言われています。
当社では、ホウ素系では「エコボロンPRO」という製品を使用しています。
エコボロンPROは蒸発しない特徴を持つことから空気を汚さず人の健康に優しいといった特色も備えています。シロアリ予防には適している一方で、シロアリ駆除にはあまり向いていない製品です。
効果が長期間持続するのも特徴で、一般的なシロアリ予防薬剤の保証期間が5年間であることが多いのに対して、エコボロンPROは10年間の保証期間が適用される場合もあります。なお、エコボロンPROは公益社団法人日本木材保存協会の認定薬剤で、熊本城本丸御殿他(熊本)や高野山總持院(和歌山)といった文化財での防蟻工事にも使用されています。
(防腐防蟻処理用薬剤 エコボロンPRO)
自分でシロアリ予防をする際の薬剤の選び方と注意点
シロアリ予防を検討している方の中には、ご自身で市販の薬剤を購入して実施しようとお考えの方もいらっしゃると思います。
具体的に選んでいく際は、前述した薬剤のタイプ(ネオニコチノイド系、ピレスロイド系等)ごとの特徴も踏まえながら、ご自身に適している製品タイプ(スプレータイプ、毒エサタイプ、液状タイプ、粉剤タイプ)を選定していきましょう。また、ペット飼育の有無や健康に配慮すべき同居人がいるかなども含めて総合的に適している商品を選ぶと良いでしょう。
また、そもそも論の話ではありますが、市販の薬剤を選ぶ際には、「シロアリ予防」用なのか「シロアリ駆除」用なのかをしっかり見極めた上で選定するようにしましょう。
なぜなら、「予防」と「駆除」では目的が異なり、有効な対策方法も違ってくるからです。
もっと細分化してお話すると、「シロアリが発生しており、駆除した後に予防する場合」なのか「シロアリは発生しておらず、予防だけすればいい状態」なのかといった点も定義する必要があります。前者であればまずは駆除をしてから予防対策をする必要がありますし、そもそもシロアリが自宅に潜んでいるか、潜んでいるならそれはどの箇所なのかといった部分まで調査する必要もあります。
ちなみに、シロアリが潜んでいるかを確認するには、床下や基礎部分に泥管が発生しているかを確認したり、シロアリが食することによって木材が柔らかくなっている箇所や表面が波打っていたりする箇所がないかを確認するというアプローチをとっていきます。
適切な薬剤を選ぶところまではよかったものの、その先の調査や作業で挫折するという方も少なくないのが実情です。
自分であれこれ調査するのが難しかったり時間がなかったりする場合や、作業の正確性を求める方は業者に依頼することを検討してもいいでしょう。
まとめ|薬剤のことはプロに相談するのもおすすめ
本記事では、シロアリ予防で使用する薬剤の種類や特徴について解説してきました。
薬剤の深い内容になると、一般の方だとわからないことも多いと思います。
「シロアリ予防の際にどのような薬剤を使用すべきかわからない」「健康面や環境面に配慮したいが何がおすすめか」といったお悩みや不安をお持ちの方はお気軽に当社までお問い合わせください。