- シロアリ防除におけるバリア工法の施工内容
- バリア工法の仕組み
- その他の施工方法との違い
「シロアリ防除を依頼しようとしたら見積もりにバリア工法と書いてあるけど、よくわからない」
「シロアリ駆除・予防でバリア工法とよく聞くけど、詳しい仕組みを知りたい」
この記事では、これからシロアリ駆除・予防をしようとしている方向けに、シロアリ予防・駆除で最も一般的な工法であるバリア工法について詳しく解説していきます。
目次
バリア工法とは?
バリア工法とは、薬剤を床下へ直接散布することでシロアリを駆除し、同時にバリアを張ってシロアリの侵入や繁殖を防ぐ工法です。
具体的な施工イメージとしては、以下の手順で進めていきます。
- 木材をシロアリから守るための木材部分への薬剤処理を行う(木材内部への注入・表面吹きかけ)
- 防除作業者が床下に潜り、土壌(地面)への薬剤散布
- 玄関や浴室、キッチン、トイレ等の床下への薬剤散布(床下が塞がれている場合は床上から処理)
シロアリ防除では最も一般的な工法で、建物への安全性も担保された工法です。
バリア工法の仕組み
バリア工法はシロアリの生態系を逆手に取り、侵入経路に薬剤によるバリアを張る仕組みから成っています。
シロアリは暗く湿った環境を好むため、建物に侵入する場合は普段生息している土を抜けて床下を辿ってくることがほとんどです。(※割合は多くはありませんが、羽アリが飛来してきて侵入するケースもあります)
バリア工法はこのシロアリの行動パターンを先回りして、床下を含む建物へのシロアリの侵入経路を物理的に遮断することを目的としています。
もし床下の侵入口にバリアを張っていないと、建物内に侵入してしまい食害※が発生してしまうため、バリア工法ではこの侵入入口を塞ぐ作業を徹底的に行います。
※食害とは、シロアリが木材を食べることによって生じる被害のこと。
バリア工法のメリット
バリア工法のメリットとしては以下が挙げられます。
- 他の工法と比較して素早い対応が可能
- 一度防除施工をすれば5年間程効果が続く
- 他の工法と比べて施工価格が安い
- 匂いの少ない薬剤を使用
業者によりますが、当社では、一般的な保証期間が5年間であるシロアリ予防の施工以外にも、10年間の保証が付くメニューもご用意しています。この部分は業者によってサービス内容が異なるため依頼しようとしている業者に確認するようにしましょう。
バリア工法のデメリット
バリア工法のデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 床下とはいえ一応家屋の中に薬剤を散布することになる(安全性への大きな問題はありません)
- 作業者に一定の経験や知識、技術を要する
- 床下がない、あるいは床下高が低い場合はバリア工法で施工できない
シロアリ防除の依頼しようとしている方にとって最も気に留めておくべき点は床下に関する点です。
建物の構造上、床下が存在しなかったり入り込めない場合は、バリア工法がマッチしません。その場合は別の工法を用いることになり、それがベイト工法です。
ベイト工法の概要
ベイト工法とは、毒エサを建物周辺の土の中に一定間隔の距離で埋め込み、シロアリの巣に持ち帰らせることによって巣ごと除去する方法です。
シロアリは木材のセルロースという成分を好む性質を持っており、その性質を利用してセルロースを含む毒エサを活用するというものです。毒エサを食したシロアリは脱皮ができなくなり、結果的に死滅していく仕組みになっています。
この手法であれば床下に入り込んで薬剤散布ができないなどの場合でも安全にシロアリを駆除することができます。
ただし、ベイト工法の場合は3点ほどデメリットがあります。
「駆除効果が出るまでに時間がかかる」という点、「施工料金がバリア工法と比べて高い」という点、「ベイト剤を埋め込む仕掛けを定期的に実施する必要がある点」の3点です。
時間の観点においては、駆除効果が出るまでにはおおよそ2~3ヶ月程度が必要です。
理由としては、シロアリが毒エサに引き寄せられて巣に持ち帰って集団に行き渡るまでには物理的に時間がかかるためです。
そのため、床下がない等の建物の構造的にバリア工法が使えない場合は、駆除の必要性が生じそうになる予兆を早めに見極めてベイト工法での施工を行うのが理想になります。
その他のデメリットとしては施工費用と手間の問題があります。
施工費用に関しては使用する薬剤(ベイト剤の場合はステーションと呼ばれる毒エサを用います)がバリア工法と異なり、作業の工数もかかるため施工費用が上がります。
手間に関しては、ベイト剤を埋め込む仕掛けを定期的に管理・モニタリングする必要があるため、バリア工法と異なり一度の施工で完結しないというデメリットがあります。
とはいっても、床下周りの構造的問題を理由にバリア工法が使えない場合はベイト工法で施工していくことになりますので、予めそのような点を理解しておくことで納得して駆除を依頼することができるでしょう。
バリア工法で大切なポイント
バリア工法は作業者の腕前や経験が重要な工法です。
建物の構造を正確に把握してシロアリが侵入しそうなポイントを特定する必要があったり、安全性に配慮しながら薬剤を取り扱う必要があるためです。
ここでは、バリア工法の作業の際の主なポイントをいくつかご紹介します。
<バリア工法における作業ポイント>
- 均一にくまなく薬剤を散布する
- 水漏れが発生していたり湿度が高い箇所は特に注意深く処理する
- コンクリートのひび割れ部分などは特に注意深く処理する
- 玄関下や基礎の内側、配管部分などについても念入りに処理する
- 暗くて狭い床下でもシロアリ被害がないか漏れなく調査する
バリア工法では、シロアリが生息している箇所や生息しそうな箇所を調査によって特定し、徹底的に薬剤処理をすることが重要です。万が一、薬剤処理が疎かな箇所があったりすると、シロアリ予防効果が発揮されず再発するリスクもあります。シロアリは湿気が高い環境や暗い環境を好むといった習性があるため、そうしたシロアリの特性を理解して作業にあたることが大切なポイントとなります。
(実際の床下での薬剤散布風景)
バリア工法に関するよくある質問
Q:バリア工法は自分でもできますか?
A:仕組みや作業手順を理解すれば理屈的にはご自身でも同じように作業することは可能です。しかしながら、バリア工法は抜け漏れなく処理をすることが大切で、プロは専用の作業道具を使用して処理していくことになるため手軽にできるものではありません。また、木材内部への処理で穴を開ける際、建物を思わぬ形で傷つけてしまうリスクもあります。そうした理由から専門業者に依頼するのが無難といえます。
Q:バリア工法の効果はどの程度持続しますか?
A:バリア工法で使用する薬剤の効果は5年間程度持続します。したがって、駆除・予防どちらの目的の施工でも5年間に一度バリア工法による防除施工を行うのが理想とされています。当社ではシロアリ予防において10年間保証が適用されるホウ素の薬剤を利用した予防サービスもご用意しております。詳細は以下のページからご覧ください。
Q:バリア工法で施工した場合ニオイは部屋に残りますか?
A:バリア工法では安全な低臭性薬剤を使用して施工しますので基本的にニオイは残りづらいですが、わずかにニオイを感じることがあります。その場合は換気をするなどして対応していきますのでご安心ください。
まとめ|シロアリの駆除・予防にはバリア工法がおすすめ
このページでは、シロアリ駆除・予防におけるバリア工法について解説してきました。
シロアリは一度発生すると、対応するのにコストも時間もかかるため、予防対策が大切です。
もしシロアリが発生してしまったという場合においても、徹底的に駆除して防除も行うことで再発を防いでいかなければなりません。
そのための手法としてバリア工法について理解しておくと、しっかりとした対策ができるでしょう。シロアリ駆除・予防を依頼しようとしている場合は、業者からバリア工法に関する説明をしっかりと受け、納得感を持って進めていきましょう。