ノロウイルスが猛威を振るうのは冬です。
飲食店がノロウイルスによる食中毒と認定されてしまった場合、通常3日間程度の営業停止処分などを受けてしまいます。
もちろん、営業停止処分以上に怖いのが、顧客離れ。
本記事では、飲食店にとって死活問題となるノロウイルスを防ぐための消毒のコツを解説します。
記事を読むとノロウイルスに怯えていた日々から開放されますよ。
目次
ノロウイルスにアルコール消毒は効かない?
始めに知っておきたいのが、ノロウイルスにアルコール消毒はあまり効かないということです。(厳密に言うと効果があるタイプのアルコールもあります)
また石けんも、ノロウイルスを直接的に殺菌する効果はありません。
ただし、石けんで手を洗うことで手の表面についたノロウイルスを落としやすくなります。
感染予防の基本は手洗いですので、直接効果がないからと言って疎かにはしないでください。
しっかりと手を石けんで洗うことでノロウイルスが手や指に残る確率を劇的に下げることができます。
2つだけ覚えておきたいノロウイルスの消毒方法
アルコールが効かないし、石けんでも殺菌効果がないとすると、どうすればノロウイルを消毒することが出来るのでしょうか?
答えは「次亜塩素酸ナトリウム」を代表とする塩素系の漂白剤と、「熱による殺菌消毒」です。
次亜塩素酸ナトリウム
ノロウイルスを消毒(失活化)するには、次亜塩素酸ナトリウムを使うのが、とても効果的です。
消毒したい対象のモノを洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウムをたっぷりと浸すように使うことでノロウイルスを除去することができます。
例えば、調理台の上だったら、まずは洗剤で洗浄をしたあと、水で洗い流します。次に次亜塩素酸ナトリウムを調理台がしっかりと濡れるくらい撒いてから拭き取るのが、ノロウイルスを不活化するコツです。
熱消毒
次亜塩素酸ナトリウムがない場合でも、熱湯が有効です。
特に小さな調理器具、例えば包丁、お皿やフォークなどの食器類であれば、鍋などにお湯を張って煮沸消毒をするのが、簡単な方法です。
ふきんやタオルなども同じ方法で消毒できます。
なお、お湯の温度は85℃以上で、1分以上加熱してください。
ノロウイルスを消毒するコツ
上記でノロウイルスを消毒する方法について解説しましたが、消毒を実施する際にちょっとしたコツがあります。
以下では、そのコツについて簡単に説明します。
ノロウイルスを消毒するコツ① | 専用の調理器具を用意する
ノロウイルスの感染源として、有名なのが二枚貝。
二枚貝とは、カキ、シジミ、アサリやハマグリなど、殻を二つ持つ貝の総称です。
これらの食材を調理する際は、専用のモノを用意することでこまめな洗浄や消毒ができます。
他の食材への二次感染防止のためにも、二枚貝を調理する場合は、ぜひ専用の調理器具を用意しましょう。
ノロウイルスを消毒するコツ② | 次亜塩素酸ナトリウムはたっぷり使う
次亜塩素酸ナトリウムで消毒をする際は、たっぷりと使うことを意識してください。
どうしても、アルコール消毒の感覚で消毒をしようとする方が多いですが、それでは足りません。
しっかりと消毒するには、対象のモノがびしょびしょになるくらい、多めの次亜塩素酸ナトリウムを使いましょう。
ノロウイルスを消毒するコツ③ | 素早く掃除して消毒する
ノロウイルス感染者のおう吐物やふん便は素早く掃除して、消毒をしてください。
というのも、ノロウイルス感染者のおう吐物やふん便には大量のウイルスが含まれていて、二次感染を引き起こす主な感染源となっているからです。
また、おう吐物やふん便が乾くとウイルスが空気中に舞い上がりやすくなり、空気感染の原因にもなります。
おう吐物やふん便の迅速な処理が、感染拡大を防ぐにはとても重要です。
ノロウイルスを消毒するコツ④ | しっかりと汚れを落としてから消毒する
ノロウイルスが含まれるおう吐やふん便の他、消毒をしたいモノに食材や油汚れなどが付着している場合、次亜塩素酸ナトリウムの消毒効果が減退します。
従って、次亜塩素酸ナトリウムで消毒をする前に、そういった有機物をしっかりと取り除き、清掃をしてから消毒をするのが、ノロウイルスを除去するコツです。
店舗経営者ならノロウイルスの感染経路を知っておこう
ノロウイルスの感染には3種類の経路があります。
- 接触感染
- 飛沫感染
- 空気感染
店舗経営者の方なら、必ず知っておきましょう。
ノロウイルスの感染経路① | 接触感染
ノロウイルスの1番オーソドックスな感染経路が接触感染です。
感染者のふん便、吐しゃ物に手などが触れて感染するのが接触感染です。
他にも既に汚染されたモノに触れたり、ノロウイルスのいる貝を食べたりして感染するのも接触感染にあたります。
ノロウイルス感染者の吐しゃ物を片付けるときは、しっかりと手などを防護して実施するのが感染しないコツです。
またトイレに入る際、ドアノブなどからも感染する可能性があるので注意してください。
ノロウイルスの感染経路② | 飛沫感染
ノロウイルス感染者がおう吐をした際に、その飛沫が飛んで吸い込んだりすることで感染するのが飛沫感染です。ノロウイルスに感染して具合が悪くなった患者に付き添って感染してしまうというケースがあります。
ノロウイルスの感染経路③ | 空気感染
ノロウイルスは乾燥に強く、乾燥したふん便やおう吐内でも生き続けます。
そしてノロウイルスを含んだ、ふん便やおう吐が乾燥することで、埃とともに舞い上がり、それを周りにいる人が吸い込んで感染するのが空気感染です。
気をつけていてもノロウイルスに感染してしまうのは、この空気感染が大きな要因です。
ノロウイルスに汚染されたモノを片付ける際は、ゆっくり丁寧に片付けるようにして感染を防ぎましょう。
店舗でのノロウイルス感染を防ぐ具体的な対策
ノロウイルスの消毒方法とそのコツ、感染経路などの他、最後に具体的な感染対策を紹介します。
ここでは主なものを5つ。
- 手洗いが基本
- ペーパータオル
- 専用の調理器具
- 十分な熱処理
- 従業員の体調把握
ノロウイルス感染を防ぐ具体的な対策① | 手洗いが基本
石けんが、直接ノロウイルスを失活化することができないとしても、やはり手洗いはとても重要です。
なぜなら、手洗いは手指についたノロウイルスを減らす最も有効な方法の1つだからです。
内閣府食品安全委員会の資料「ノロウイルスの消毒方法」によると、有効な手洗い方法は、石けんやハンドソープを使った30秒間のもみ洗いと15秒間の流水でのすすぎを複数回くり返すことです。2回繰り返すと、ノロウイルスの残存率を約0.0001%まで減らすことができたとする実験結果があります。
飲食店従業員の方には、小まめな手洗いを心がけてもらいましょう。出勤時やトイレの後はもちろん、休憩の後なども忘れがちなので注意が必要です。
ノロウイルス感染を防ぐ具体的な対策② | ペーパータオル
コロナウイルス流行の影響で、多くの飲食店では、手洗い後はペーパータオルを使用するようになっていると思います。
しかし、従業員用には、未だに使いまわしのタオルを使用しているところも見受けられます。
ノロウイルス感染者がいるとタオルを介して感染する可能性がありますので、まだ タオルなどを利用している場合は、必ずペーパータオルに切り替えましょう。
ノロウイルス感染を防ぐ具体的な対策③ | 専用の調理器具
「ノロウイルスを消毒するコツ」でも記載しましたが、二枚貝を取り扱う店舗では、必ず専用の調理器具を用意しましょう。
専用の調理器具を使用することで、他の食材への二次感染を減らすことができます。また、専用にすることで、普段から意識的に洗浄・消毒をしっかりとすることができます。
ノロウイルス感染を防ぐ具体的な対策④ | 十分な熱処理
ノロウイルスは85℃以上、かつ1分以上の加熱で消毒することができます。これは食器やまな板などの調理器具だけでなく、二枚貝などの食材にも言えることです。
ノロウイルス流行時は、可能であればしっかりと食材の中心部まで火を通すようにすることで、ノロウイルスへの感染を防ぐことができます。
実際、加熱するとなると温度がしっかりと測れない、測れる場合でも誤差などを考えると、少し余分に(1分半程度)加熱すると安心です。
ノロウイルス感染を防ぐ具体的な対策⑤ | 従業員の体調把握
従業員の体調を把握することも大事です。
ノロウイルスの特徴として、感染すると、おう吐、下痢、腹痛、また発熱を伴います。
このような症状が出た従業員には必ず休んでもらうようにしましょう。医療機関で簡単に検査することも可能ですので、すぐに受診をしてもらうことも大事です。
感染が確認された場合は、1週間程度の期間、自宅で療養してもらってください。
また、復帰する際も可能であれば医療機関で検査をして陰性と確認できてからの出勤が望ましいです。
ノロウイルスは店舗運営にとって新型コロナウイルスより怖い
飲食店にとってノロウイルスは、いまや新型コロナウイルスよりも怖い存在かもしれません。
当然、コロナウィルスの感染予防はしっかりとする必要がありますが、どうしても防ぎきることはできません。
そして、万が一かかってしまったとしても対策をしていた上での感染であれば、「仕方ない」のも事実です。
一方、ノロウイルスの場合、店舗を発生源として感染が広まった場合、「仕方ない」と許容されづらいです。
実際、営業禁止処分、営業停止処分などは行政処分です。
国が飲食店に対してノロウイルスの感染予防・防止に強い責任感を求めていることがわかります。
また、営業停止処分となれば、顧客離れが進みます。一旦、離れたお客さんが戻ってくるまでにはイバラの道が待っているでしょう。
ノロウイルスの感染は予防・防止できる
ノロウイルスの感染は本記事で解説した対策を実施すれば、予防・防止することができます。
まずは今日からできる対策を実施してみましょう。
それだけで劇的に店舗でのノロウイルス感染を減らすことができるはずです。
また、多数の実績を持つ知識豊富なプロに相談してみるのもおすすめです。
多くの専門業者では、無料で相談することができますので、まずは無料相談を利用してみてはいかがでしょうか?