愛嬌のある見た目で、かわいらしいアライグマ。
実際に被害にあってみると決してかわいいだけじゃないことは、本記事を読んでいる方は既にご存じのはず……
でも、「駆除なら自分でもできるかも」と思ってませんか?
実際にネットで検索してみると「アライグマを自分で駆除する手順」などという記事がでてきます。
もちろん、絶対にできないということはありませんが、基本的にはアライグマの駆除はプロの仕事。
アライグマは見た目に反して狂暴な性格です。また、狂犬病などのウイルスを持ってる可能性も高く、糞尿に潜んでいる病原菌からの感染リスクなどもあります。
害獣駆除の経験が無い方にはとてもハードルが高い害獣です。
本記事ではアライグマの特徴の他、「なぜアライグマの駆除はプロに任せた方が良いのか?」を解説します。
目次
アライグマについて
アライグマは北米を原産とするアライグマ科アライグマ属の哺乳類です。
日本には元々いなかったのですが、1970年代に放映されたテレビアニメ「あらいぐまラスカル」の影響もあり、ペット用などとして輸入されたアライグマが逃げ出したり、捨てられたりして野生化しました。
天敵が少ないこともあり、どんどん増えているのが現状です。
日本では、その後、特定外来生物として指定され、現在はペットとして買うことは禁止されています。
現在は害獣として見られることもあるアライグマですが、はじめは日本人の勝手なエゴで知らない土地に連れてこられたんですね。
以下に、そんなアライグマの特徴について5つ解説します。
- 体の大きさ
- 本来の生息地域は森林や山
- 手先が器用で木登りや泳ぎが得意
- 雑食でなんでも食べる
- 人間には懐かない
アライグマの特徴① | 体の大きさ
アライグマの胴長は40~60センチ、しっぽは20~40センチ、体重は2~19kgと大きめで猫並みのサイズです。
環境によりますが、中には巨大化する個体もいて、特に動物園などでは胴長1メートル、体重20kgを超える場合もあります。
アライグマの特徴② | 本来の生息地域は森林や山
アライグマの本来の生息地域は森林や山、草原などですが、農地や住宅街にも出没します。
巣は作らず、他の動物が作った巣穴や木などにできた穴、また人家の屋根裏や小屋などにも入り込むことがあります。
行動範囲は通常1~3キロ圏内ですが、里山など自然が多いところでは行動範囲が広まるのが一般的です。
アライグマの特徴③ | 手先が器用で木登りや泳ぎが得意
アライグマは手先が器用で木登りや泳ぎが得意です。
体も柔らかく、ちょっとした隙間でも通り抜けることができます。
そのため、住宅の屋根裏などの高いところや倉庫などにも簡単に侵入してきます。
手先が器用なので、中には設置したワナに1度捕まっても、自分でフタを手で開けて出てくるアライグマもいるくらいです。
アライグマの特徴④ | 雑食でなんでも食べる
アライグマは雑食でなんでも食べます。
両生類、爬虫類、魚類に鳥類、昆虫、植物や木の実なども食べます。ときには哺乳類の死骸などを食べることも。
住宅地などではゴミを漁って生ごみを食べたり、お菓子や調味料なども好物のようです。
アライグマが食べないものを探す方が難しいくらいですね。
アライグマの特徴⑤ | 人間には懐かない
アライグマは野生の動物で人間には懐きません。
夜行性で気性が荒く、特に繁殖期や子連れのアライグマの親は攻撃的です。
実際、史実を元にしたアニメ「あらいぐまラスカル」でも、子供の頃はなんとか飼っていましたが、大人になると最後、主人公の少年は泣く泣くラスカルを森に返します。
悪戯などが酷くなり、手に負えなくなったからと言われています。
長年世話をして一緒に暮らしても、やはり住む世界が違ったんですね……。
アライグマとたぬきとの簡単な見分け方
アライグマは古くから日本にいるたぬきと似ていますが、しっぽを見ると違いが簡単にわかります。
たぬきのしっぽは茶色で模様はないですが、アライグマのしっぽは黒い縞模様があります。
たぬきは集団で行動しますが、アライグマは単独行動を好みます。
また、たぬきは臆病なので人を襲ったりすることはめったにないですが、アライグマは攻撃的です。
気をつけるべきは、たぬきよりもアライグマかもしれません。
アライグマを自分で駆除するのが無理な理由
本題です。
経験がない方がアライグマを駆除するのが無理な理由は全部で3つ。
- 鳥獣保護法による保護と特定外来生物への指定
- とても攻撃的で危険
- 様々な病気を持っている可能性
1. 鳥獣保護法による保護と特定外来生物への指定
アライグマは特定外来生物と鳥獣保護法の両方に指定されているので、その捕獲、駆除に関する規定が非常にややこしいです。
理由は以下の2点。
- 特定外来生物は生きたままの運搬、保管等が禁止されている
- 鳥獣保護法の規定により捕獲、処分に規制がある
従ってアライグマを駆除するには、県や市などの自治体と連携して防除の確認・認定を受ける必要があります。
各種申請書、防除計画の作成・申請、そして国からの許可が必要なのです。
2. とても攻撃的で危険
上記でも解説しましたが、アライグマは見た目の可愛らしさとは裏腹に、攻撃的で人に懐くということもほとんどありません。
非常に鋭い爪をもっていて、引っかかれるとスパっと皮膚を切り裂くほどの切れ味です。
また噛む力も強く、ペットなどを襲うこともあるので危険です。
可愛いからと言って気を許して近づかないようにしましょう。
3. 様々な病気を持っている可能性
アライグマはウイルスや様々な病気を持っている可能性があります。
特に怖いのが狂犬病ウイルス。
狂犬病は1度発症すると効果的な治療法がなく、致死率がほぼ100%の怖い感染症です。
その宿主となっている可能性のあるアライグマ。
狂犬病は狂犬病ウイルスを持っている動物などに噛まれたり、引っ掻かれたりすると感染するリスクがあります。
他にもアライグマの糞に潜むアライグマ回虫も怖いです。
アライグマ回虫に感染すると、脳神経障害や失明など致死的な感染症を引き起こす可能性があります。
アライグマが住みついたらプロに依頼しましょう
本記事で解説したとおり、アライグマは思っている以上に、人にとっては危険な動物です。
人間のエゴで勝手に連れてこられて、捨てられ、今度は駆除。
可哀そうですが、一般の方が簡単に対応できる動物ではありません。
また、糞尿にウイルスや菌が潜んでいる可能性があるので、掃除を適当に済ませてしまうとかえって危険です。
まずはプロに相談しましょう。