暖かくなってきてハチも活発に活動する季節になってきましたね。今回は、ハチ駆除のプロの視点から、燻煙剤を使った意外なハチ駆除方法について解説します。
実際のところ燻煙剤をハチ駆除に使うことはあまりありませんが、正しい使い方をすることで、効果的な駆除方法にもなります。
本記事では、燻煙剤を使ったハチ駆除について、その方法や注意点などを解説。
危険なハチに正しく安全に対処するためには、ぜひ読み進めてください。
目次
バルサンやアースの燻煙剤とは
バルサンやアースの燻煙剤は、一般的に害虫駆除のための燻煙剤です。
燻煙剤の煙には害虫を駆除する成分、主にピレスロイド系やカルバメート系の殺虫成分が含まれていて、その煙が広がることで部屋などの密閉空間の隅々まで害虫を駆除する効果があります。
燻煙剤と呼ばれるものには霧タイプ、水タイプ、そして煙タイプが市販されていて、通常煙タイプが1番強力ですが、マンションなどの集合住宅での使用が難しいのが難点です。
燻煙剤は本当にハチに効くの?
結論からいうと、燻煙剤はハチにも効果があります。
燻煙剤に含まれる成分、例えばピレスロイド系の殺虫成分には、ハチの神経細胞に作用してハチを麻痺させたり、呼吸を妨げて窒息死させたりする効果があります。
また、煙がハチの警戒心を鈍らせる鎮静効果も発揮するので、ハチを安全に駆除するのにも役立つのです。
ただし、バルサンやアースなど、有名な燻煙剤の効能・効果欄を確認すると、そこにハチは含まれていません。
例えば、家庭用バルサンで1番強力な効果がある「バルサンプロEX」の効能・効果欄には「ゴキブリ、イエダニ、ノミ、トコジラミ(ナンキンムシ)、ハエ成虫、蚊成虫、屋内塵性ダニ類の駆除」と記載されています。
そのため、これを見た人は「燻煙剤は本当にハチに効くの?」という疑問が生まれるわけです。
しかし、ハチはそもそも殺虫剤には非常に弱く、ゴキブリのように殺虫剤に耐性を獲得している個体も少ないため、ゴキブリに効くような強力な殺虫成分を含む燻煙剤はハチにも通常は効くのです。
燻煙剤をハチ駆除に使用できる場面は限られる
上記で、燻煙剤はハチの駆除効果があると解説しましたが、実際には一般の方が使用できる場面は限られます。
なぜなら、燻煙剤の効果を発揮させるには、「密閉空間」での使用が前提だからです。
当然、庭の木や、雨よけの下など外の空間では、そのままハチの巣の下で燻煙剤を焚いても効果がありません。
外で使う場合は、煙の噴射口をハチの巣穴に直接突っ込むなどの荒技が必要になります。
そこまで出来るのは完全防護をしたプロ業者だけでしょうし、またそこまで近づくのであれば殺虫スプレーを使った方が合理的です。
従って燻煙剤が活躍できるのは、ハチの巣が屋根裏や通気口の中、倉庫の中などにある限られた場面だけです。
燻煙剤の使い方と手順
燻煙剤をハチ駆除に使う場面は限られているとはいえ、通気口から屋根裏や壁の内側などに巣を作るハチは意外と多いです。
そこで、密閉空間で燻煙剤を使ったハチ駆除の方法を以下に解説します。
1. ハチが巣を作っている場所と大きさ、種類を特定する
まずは、ハチが巣を作っている場所を特定しましょう。昼間のうちに、大まかな場所を特定しておき、日が沈んで1~2時間経ってハチの活動が納まってから実際の場所を確認するのがおすすめです。
なお、確認したときに巣が大きかったり、相手がスズメバチだったりした場合は、危険ですのでプロの業者に相談しましょう。
2. 燻煙剤を焚く前の準備をする
燻煙剤を焚く前に、周りの養生をしましょう。
屋根裏で焚く場合でも、煙は部屋に下りてきます。
屋根裏は自然換気だと時間がかかるので、可能であればサーキュレーターや扇風機などを用意しておくと、早く臭いなどを外に出すことが可能です。
また屋根裏は暗いので懐中電灯、そして可能な限り体をハチの攻撃から守れる服装を心がけましょう。
防護服があれば最適です。
なお、懐中電灯の光に向かってハチが飛んでくるので、赤色のフィルムで照射部分を覆ってハチに光が見えないようにしてください。
ハチ用の殺虫剤も忘れず用意しておきましょう。
2. 燻煙剤を使用する
燻煙剤は、専用の器具に火をつけて使用します(煙タイプ)。使用方法は、付属の説明書に従いましょう。
煙の効果が十分にハチの巣に及ぶよう可能な限り近くに置きたいですが、無理はしないでください。
燻煙剤から煙が出てくるとハチが猛烈に音をたてて少し怖いかもしれませんが、落ち着いて退避しましょう。
隙間などからハチが部屋に入ってくる可能性もあるので注意してください。
3. 煙が収まるのを待つ
退避したらあとは待ちましょう。待ち時間は燻煙剤の種類によって変わりますので説明書を確認してください。
ハチの巣が外からも確認できる場所であれば、一旦外に出て煙やハチの様子を見ます。
4. ハチの巣を回収をする
煙が収まり飛んでいるハチも見えなくなったら、ハチの巣の状態を確認しにいきましょう。燻煙剤が効いていれば、飛んでいるハチはいないはずです。
(もし、飛んでいるハチがまだ多いようであれば密閉空間が作れない場所なのか、もしくは効果の範囲が狭い燻煙剤を使ってしまっているかもしれません。
もう1回チャレンジしてみるのもいいですが、プロの業者に頼んでしまった方が早く根本的な解決をしてくれるでしょう。)
瀕死のハチや死んだハチでも針に毒は残っていますので、気をつけてください。
大きめのビニール袋に巣を外しながら入れて、周囲のハチやごみなども一緒に回収しましょう。
ハチの巣は意外としっかりと壁や天井などについているので、場合によってはノコギリなども必要かもしれません。
5. 巣があった周囲を清掃する
巣の回収をしたら、せっかくなので周囲の点検も兼ねて清掃してもいいかもしれません。
また、巣を取り外した箇所周辺に殺虫剤をかけておくと忌避効果が期待できます。
ハチが入らないように細かい網などで穴を塞ぐのも再発防止の効果があります。
燻煙剤を使ったハチ駆除の注意点
燻煙剤を使ったハチ駆除は、上記で解説したとおり密閉空間であればそれなりに効果的な方法ですが、いくつか注意が必要です。
以下に、燻煙剤を使ったハチ駆除の注意点をまとめました。
1. 燻煙剤はなるべく強力な煙タイプを
燻煙剤には、霧、水、煙と3タイプがありますが、可能な限り煙タイプをおすすめします。ゴキブリやダニなど他の害虫などと違って、ハチの場合は危険度が違います。
確実に効果がでるよう、強力なタイプを使う方が安心です。
2. 燻煙剤の火気に注意する
燻煙剤の煙タイプは、火を使って煙を発生させるため注意が必要です。燻煙剤を大きめの金属の箱に入れて使うなど、工夫してみてください。
なお、使用環境にもよりますが、無理をして煙タイプを使わず水タイプでも、効果は期待できます。
3. 周囲に人やペットがいないことを確認する
燻煙剤を使う際には、周囲に人やペットがいないことを確認してください。
先ほども解説しましたが、屋根裏で燻煙剤を焚くと、養生しても煙やその臭いは部屋にまでおりてきます。
そこに人やペットがいたら思わぬ影響を及ぼす可能性があります。
念のため燻煙剤を使う場所周辺からは人やペットは退避させましょう。
また、家の隙間が多いと燻煙剤を使った部屋の下が「しばらく使えなくなった」となりかねませんので、注意してください。
ハチの巣に燻煙剤は効きますが十分注意
燻煙剤を使ったハチ駆除について、プロの視点から詳しく解説してきました。
燻煙剤は、ハチへの効果をうたってはいませんが、正しい使い方をすることで、一定の効果が見込めます。ただし、使用には細心の注意が必要です。周囲の人々やペットに害がないよう安全に使用しましょう。
特に煙タイプを使用する場合、火気には十分注意してください。
また駆除作業は、巣の場所やハチの種類によって難易度が異なりますので、自分で行う場合には、慎重に判断することが大切です。
無理をせず「自分にはちょっと荷が重そう」と思ったら、プロの業者に相談しましょう。
相談や見積だけなら無料で受けてくれる業者も多くあります。
以上が、燻煙剤を使ったハチ駆除についての解説となります。皆様にとって、安全かつ迅速な駆除ができるように、今後の参考にしていただければ幸いです。