- アシナガバチやスズメバチに刺されたらどうなるのかがわかる
- 蜂に刺されるのが2回目の場合に注意することがわかる
- 蜂に刺された後の早急な対策を知ることができる
- 蜂に刺される危険性がある人ができる事前対策がわかる
1度でも蜂に刺されたことがある人は、2度目が本当に恐いですよね。
筆者も経験があるのでわかります。
あの痛みはもちろんですが、それ以上に恐いのがアナフィラキシーショック。
蜂に刺されて亡くなられる方は、毎年20~40人います。
その主な原因となっているのが、アナフィラキシーショックです。
何か対策はないのでしょうか?
本記事では、アシナガバチやスズメバチに刺されるのが2回目だった場合にどうなるのか、そして、どうすればいいのかを解説します。
順番は前後しますが、急ぎの方もいると思うので、「刺されたら即時に行うべきこと」やNG行動を最初に解説します。
蜂に刺される可能性のある林業や農業に従事する人や、登山が好きな人、蜂の多い場所に住んでいる人向けに、事前にできる対策なども後半で解説しますので、ぜひ読んでみてください。
目次
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されたときに早急にすべきこと
アシナガバチやスズメバチには「毒のカクテル」とも言われる強力な毒があります。
刺されると、非常に強い痛みとともに、患部が腫れますが、早急に処置することで、ある程度、症状を抑えることが可能です。
以下にアシナガバチ(スズメバチ)に刺されたときに早急にすべきことを紹介します。
- その場を静かに離れる
- 針を抜く
- 水で洗い流す
- 薬を塗る
- 患部を冷やす
- 安静にする
その場を静かに離れる
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されたら、まずはその場から静かに離れましょう。
蜂が人を刺すときは、基本的には巣に近づいたときや、手で払ったときなど、蜂に警戒感を与えたときです。
そして、蜂は刺すときに警報フェロモンというものを出すことがわかっています。
このフェロモンに気づいた仲間の蜂が、大量に襲ってくる可能性があるのです。
もし蜂に刺されたら、早急にその場から離れましょう。
離れるときは、頭を可能な限り低く、また蜂が近寄ってきても可能な限り手で払ったり、刺激しないようにしてください。
針を抜く
アシナガバチやスズメバチは、ミツバチと違って、何回も刺すことができます。
そのため、刺されても針が皮膚に残ることは、あまりありませんが、念のため刺された箇所をチェックしてください。
もし針が残っていた場合は、ピンセットなどで抜きましょう。
水で洗い流す
針を確認したら、次に患部に水をかけて毒を洗い流してください。
蜂の毒は水溶性のため、水をかけることで、ある程度洗い流すことができます。
またこの際、道具を持っていたら、毒を吸い出しましょう。
専門の道具「ポイズンリムーバー」があればベストですが、なければストローやペットボトルなどに穴を空けて可能な限り、患部から毒を抜きます。
このとき刺された箇所に口を直接つけて吸うことは、危険なので避けてください。
吸い出す道具がない場合は、指を使って刺された箇所から毒を絞り出すことで、ある程度、毒を外に出すことが可能です。
尚、水がない場合に「尿をかけると毒を中和する」という話をよく聞きますが、効果はありませんので注意が必要です。
薬を塗る
患部を水で洗い流したら、薬を塗りましょう。
薬は、抗ヒスタミン軟膏やステロイド軟膏を塗ってください。
抗ヒスタミン軟膏は、かゆみや赤みのもととなるヒスタミンの働きをブロックし、アレルギーによる炎症反応が起こるのを抑えてくれます。
ステロイド軟膏は抗炎症作用があるので、蜂刺されによる腫れや発赤を抑えます。
患部を冷やす
薬を塗ったら、次に患部を保冷剤や氷を使って冷やしてください。
冷やすことで、血管が収縮して刺された箇所から毒が入りづらくなります。
また冷やすことで痛みやかゆみを軽減する効果もあります。
安静にする
一通りの処置を終えたら、一旦安静にして様子をみましょう。
動き回ると毒の吸収が早くなりますので注意してください。
20~30分ほど様子を見て、体調に変化がなければ、ひとまず安心です。
もし、少しでも具合が悪くなるようでしたら、すぐに病院を受診してください。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されるのが2回目の場合
もしアシナガバチ、もしくはスズメバチに刺されるのが2回目だった場合は、注意が必要です。
蜂に刺されると、体内にIgEという抗体が作られることがあります。
抗体を持っている状態で、蜂に刺されると、ハチ毒アレルギーを発症し、アナフィラキシーショックを起こす可能性があり危険だからです。
そのため、もし蜂に刺されたのが2回目だった場合、上記で解説した「アシナガバチ(スズメバチ)に刺されたときに早急にすべきこと」に加えて、以下のことを行ってください。
- 症状を慎重にチェックする
- 必要に応じてエピペンを打つ
- 医者に行く・救急車を呼ぶ
症状を慎重にチェックする
まずは慎重に自分の体調を観察して、アレルギー症状が出ていないかをチェックしてください。
アレルギー症状には以下のものが考えられます。
- くしゃみ・せき
- 目のかゆみ・まぶたの腫れ
- 粘膜の腫れ
- 動悸・息切れ
- 全身のかゆみ・じんましん
- めまい・吐き気
- 腹痛・おう吐
- 喘鳴・呼吸困難
- 血圧低下・失神
もし少しでもアレルギーの初期症状が出ている場合は、早急に病院を受診しましょう。
必要に応じてエピペンを打つ
すぐに病院に行けない状態のときはどうすればいいでしょうか?
エピペンを持っている人は、蜂刺されによるアレルギー症状(アナフィラキシー)が出たらエピペンを打ちましょう。
蜂に刺されたことがある人で、林業従事者や、登山をする人がよく携行する薬にエピペンがあります。
エピペンはアナフィラキシーの症状が出たときに、その症状が悪くなるのを抑える注射一体型の薬です。
ハチ毒アレルギーによるアナフィラキシーは、発症するまで10~15分と短く、また発症後も10~15分と短時間で重度な症状に陥ることもある非常に怖いアレルギー症状です。
重度な場合ほど、症状は早く出ることが多く、場所によっては救急車が早く到着できない場合があります。
そんなときに役立つのがエピペン。
エピペンを携行している人は、アレルギー症状が出たら、エピペンを速やかに打ちましょう。
ただし、エピペンが症状の悪化を抑えるのは一時的なものなので、打ったらすぐに病院を受診してください。
医者に行く・救急車を呼ぶ
アシナガバチやスズメバチに刺されたら、病院に行きましょう。
受診するのは皮膚科です。(アレルギー科、内科、症状が酷い場合は救急科)
ただし、本格的なアレルギー症状が出てきてた場合などは、躊躇せず救急車を呼んでください。
救急車が来るまでは、可能であれば足を高くして横になって安静にしましょう。
救急車を呼ぶのに迷ったら、「♯7119」に電話しましょう。
「♯7119」は救急安心センターの電話番号で、救急車を呼んだ方がいいか迷ったときなどに、専門家(医師や看護師など)からアドバイスを受けることができる電話相談窓口です。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されると起こるアナフィラキシーショックとは?
アナフィラキシーとは、簡単に言うと、体内に入ったアレルギー物質に体が過敏に反応して起きるアレルギー症状です。
蜂毒に限らず、あらゆるもので起こる可能性があります。
中でも血圧が低下して、意識の混濁や脱力などをともなう、重度な症状が起こる状態をアナフィラキシーショックと言います。
アナフィラキシーショックは、ただちに医療機関で適切な治療をしないと、命に関わる危険な状態です。
蜂刺されによる死者が毎年発生していますが、そのほとんどが、このアナフィラキシーショックによるものです。
なぜ蜂に刺されるのが2回目だとアナフィラキシーショックが起こりやすいのか?
蜂に刺されるのが2回目だと、アナフィラキシーショックが起こりやすいです。
その理由は、1度蜂に刺されると体内で蜂毒に対する抗体(IgE抗体)が作られるからです。
この抗体が次に体内に毒が入ってきたときに強く反応して、アレルギー症状を起こしやすくします。
アシナガバチやスズメバチに刺されて、その毒に対する抗体を体内に保持している人が、2年以内にもう1度刺されると、蜂毒アレルギーを発症し、場合によってはアナフィラキシーショックを発症する可能性が高くなるのです。
自分の体内に
抗体があるかは、病院で検査をすれば確認できます。
抗体がつくられるまでには長いときで3~4週間かかるので、スズメバチなどに刺されたら、1ヶ月程度の期間を空けてから検査をすると良いでしょう。
検査には保険が適用されます。
検査機関にもよりますが、検査結果は概ね1週間程度でわかります。
症状が早く出た場合は危険!
アシナガバチなどに刺された後に、アレルギー症状が早めに出た場合は危険です。重度のアナフィラキシーほど、短時間で発症しますので事態は急を要します。
症状が早めに出たときは、すぐに医療機関を受診もしくは救急車を呼ぶことも視野に入れて行動しましょう。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されたときのNG行動
アシナガバチやスズメバチに刺されたとき、ついやってしまうNG行動があります。
これらのNG行動を行うと蜂を刺激してしまったり、毒の周りを早めてしまったりして危険が増しますので避けるようにしてください。
- 手で払う
- 動き回る
- 口で毒を吸う
手で払う
蜂が近づいてくると恐くて、ついつい手で払ってしまう人がいますが、これはNG行動です。
手で払ってしまうと、蜂は、より攻撃的になり刺される可能性が上がってしまいます。
向かってくる蜂を思わず手で払ってしまう気持ちはわかりますが、我慢して、頭を低くして、その場から速やかに離れましょう。
動き回る
蜂に刺されてパニックに陥って、動き回ってしまう人もいます。
例えば登山中であれば、早く下山しようと焦ることもNG行動の1つです。
蜂に刺されたら登山は中止して、下山することをおすすめしますが、まずは上記で解説した「アシナガバチ(スズメバチ)に刺されたときに早急にすべきこと」を実施して、それから下山を開始してください。
急激に動き回ると毒の回りが早くなってしまいます。
口で毒を吸う
既に軽く触れましたが、蜂に刺された箇所の毒を口で吸い出すのはやめましょう。
テレビや映画などで、そのような場面があるからか、このNG行動をしてしまう人が多数います。
口から吸うとかえって毒が体内に回りやすくなる可能性が高いです。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されないための対策
誰しも蜂に刺されるのは嫌なものです。
ましてや2回目となるとアナフィラキシーの恐さも加わりますので、絶対に避けたいですよね。
そこで、蜂に刺されないための対策を紹介します。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されないための対策① | 服装
アシナガバチなどに刺される可能性を低くするには、まず黒や濃い色の服装を避けましょう。
「黒色は熊の色に近いから蜂が襲う」など、所説ありますが、すくなくとも白色の服装よりも黒い服装を攻撃しやすいということが分かっています。
蜂に刺されにくいように白っぽい服装を着るようにしましょう。
また、なるべく肌の露出を避けるのも刺されないためのコツです。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されないための対策② | 香り
アシナガバチなどは、香水や整髪料などの臭いにも敏感です。
これは香水や整髪料の中に、蜂が発する警報ホルモンと似た成分を含んでいるからと言われています。
庭での作業やアウトドアシーンで、蜂に刺されないためには、香水や整髪料をそのアクティビティを行う日は使わないようにしてください。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されないための対策➂ |急な動き
急な動きはアシナガバチやスズメバチを刺激すると言われています。
蜂が近づいてくると、ビックリして、つい素早く動きたくなりますが、可能な限り静かにゆっくりと対応するようにしましょう。
蜂は左右の動きには問題なくついてきますが、上下の動きには比較的対応できません。
まずは頭を低くして、少しづつ、その場から離れて行きましょう。
巣が近くにある場合は、蜂の警戒範囲である10メートル以上離れてください。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されたことがある人ができる事前準備
蜂、特にアシナガバチやスズメバチに刺されたことがある人は、抗体検査をおすすめします。体内の抗体の有無で、アナフィラキシーになるかどうかの可能性が大きく変わります。
もし抗体があった場合は、エピペンを携行するようにすると安心です。
エピペンの効果は30分程度ですので、蜂に刺されて症状が出てきた場合でも、ある程度安心して医療機関に向かうことができます。救急車が来るのに、時間のかかる場所にいる場合も少し余裕ができますよね。
アシナガバチ(スズメバチ)に刺されるのが2回目の人からのよくある質問
最後にアシナガバチやスズメバチに刺されるのが2回目の人から、よくある質問とその答えを掲載します。
1回でも刺されたことがある人は不安ですよね。
本記事が少しでも、そんな不安を解消するお役に立てれば幸いです。
Q:蜂に2度刺されると危険と聞きましたが本当ですか?
A:本当です。スズメバチなどに刺されると体内でIgE抗体がつくられることがあり、その抗体によりアレルギー症状が強く出てしまうことがあります。症状が重い場合はアナフィラキシーショックを引き起こし命に関わることもあります。
必ず抗体はできますか?
A:必ずしも蜂毒に対する抗体がつくられるとは限りません。10~20%の人がアレルギーを引き起こす可能性のある抗体の量を体内につくると言われています。
Q:自分の蜂毒に対するアレルギーの有無はどうすればわかりますか?
A:抗体の有無を検査することでわかります。抗体検査は医療機関で行われている血液検査で確認できます。
Q:抗体検査の費用はいくらですか?
A:抗体検査の費用は概ね1万円前後かかります。ただし、保険を使うことで、そのうちの3割負担になります。
Q:抗体検査はどこでもできますか?
A:多くの皮膚科で抗体検査は実施しています。ただし、分析は別機関への送付、検査を行いますので、結果が出るまでには、およそ1週間かかります
Q:アシナガバチに刺された後、スズメバチに刺されてもアナフィラキシーの可能性はありますか?
A:アシナガバチとスズメバチの毒は、似ている成分が多く含まれているので、別種類の蜂とはいえ、アナフィラキシー症状を引き起こす可能性があります。
気になる方は、蜂の種類別で抗体検査ができますので確認しましょう。
Q:蜂毒に対する抗体を持っているのですが、エピペンを持っていた方がいいですか?
A:抗体を持っていると、次に刺されたときにアナフィラキシー症状になる可能性があるので、持っていると安心です。特に林業や農業などを生業としている方、またはキャンプや登山などアウトドアアクティビティをされる方は携行することを強くおすすめします。
Q:エピペンはどこで手に入りますか?
A:医療機関を受診して処方してもらってください。
Q:エピペンの値段はいくらくらいですか?
A:エピペンの価格は1万円前後ですが、蜂に刺されたことがある人であれば、保険が適用されるので負担額は約3,000円前後です。
Q:エピペンはどのくらい保存できますか?
A:エピペンの使用期限は1年です。使用期限を過ぎたエピペンは処方してもらった医療機関で交換してもらってください。