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【コラム】中国人が、日本の「ニシキゴイ」を爆買いし始めた理由

更新日 : 2019/3/26

中国の「2018年度流行語大賞ベスト10」で「錦鯉(強運の持ち主)」がトップに輝いた。錦鯉は最近、中国で空前のブームになっている。中国ネット通販最大手「アリババ」の決済サービス・アリペイが公式ウェイボーアカウントで、書き込みを転載して抽選に当たれば「中国錦鯉になれる」というキャンペーンを実施したことから300万回以上のリツイートと2億超えのアクセスを記録。当選したユーザーは多額の賞金と商品を獲得。このため、アリペイの「中国錦鯉」は「強運の持ち主」との意味に転じて、大盛り上がりのキャンペーンになったのだ。

日本で生産されるニシキゴイもいまや、高価格帯購入者の約8割を外国人オーナーが占めると言われ、昨年のオークションでは、最高1匹2億円もの高値で中国人に競り落とされた。
 日本政府は、農林水産物・食品の輸出額1兆円の達成を目標とする中、主要品目として海外への販路拡大を進めようとしている。 ニシキゴイは日本原産の観賞魚で、高級魚では1匹数千万円以上もの値がつくため、「泳ぐ宝石」とも呼ばれてきた。新潟県が発祥で、いまも業者の6割が集中する。長年、多くの日本人に一種のステータスシンボルとして親しまれてきたが、近年では自宅の庭に池を作る人も少なく、かつてほどはみられなくなった一方、海外での人気は近年高まっている。財務省貿易統計によると、2018年の輸出額は15年前の3倍となる43億円に上った。 近年のニシキゴイを取り巻く状況について、中国の顧客とも取引がある新潟県の養鯉業者はこう明かす。 「ニシキゴイといってもピンキリで、1000万円以上の高級魚となると全体の1%くらいですが、この部分のおよそ8割を外国人、特に中国人富裕層オーナーが所有してます。日本の品評会で勝った鯉を持つのがブランドになるみたいで、育てるのは日本国内で、という契約にしています。サラブレッドみたいなものですね。日本である程度実績を上げたニシキゴイを、中国の自宅に戻して鑑賞するという人が多いです」 国内で飼育委託されている分を入れれば、ニシキゴイマーケットは財務省貿易統計の倍以上、100億円規模の立派な「輸出市場」になるという。

 そんな中、自民党もニシキゴイの輸出振興を進めようと、今年2月に「錦鯉文化産業振興議員連盟」を立ち上げた。 議連の会長には浜田靖一元防衛相が就任し、顧問には麻生太郎副総理兼財務相や二階俊博幹事長など、錚々たる顔ぶれが並ぶ。議連の目的は、ニシキゴイを日本の「国魚」に指定することとニシキゴイの生産能力を高めるため、農地法などの規制緩和を行うことだ。 しかし、政府は規制緩和に慎重な姿勢だという。「農水省としては、ニシキゴイよりもコメを作って欲しいというのが本音だろう。『水田フル活用』に予算をつけて舵を切ったばかりなこともある。 ただ、コメ作りが難しくなった地域でも無理矢理コメを作らせようという政策には無理があるのではないか。養鯉は、エサさえしっかりやっていればそれほど手間はかからないし、海外需要が旺盛な今なら確実に儲かる商売だ。アジアだけでなく、ヨーロッパにもまだ伸びしろがある。地元の雇用対策という点からも、規制緩和は不可欠だ」と議連の自民党員は話す。
最近では、日本国内で規制緩和を巡る駆け引きが行われているのを横目に、日本から輸入したニシキゴイを中国で繁殖させて、販売する中国人業者が増え始めているという。 「最高級グレードの鯉を育てる技術は向こうにありませんから、数百円から数万円までのグレードを育てて、中国国内やタイなどの東南アジア諸国で販売しているようです。単価がそれほど高くはないとはいえ、この価格帯はボリュームゾーンですから、早めにマーケットを取りに行かないと今後の輸出に影響が出てしまいます。 最近話題になっている和牛の国外流出でも、オーストラリアで外国人業者が『WAGYU』として繁殖させ、東南アジアのマーケットを取られてしまった歴史がある。あながち、中国産の『NISHIKIGOI』が海外で幅をきかせるようになる可能性が低いとは言えません」と広島県の養殖業者は語る。ニシキゴイは重要輸出品としての位置を占めている。アジアの富裕層向けを中心に販売単価も高く、輸出品目としての存在感は決して小さくない。 手を拱いていれば、またしても日本の「ブランド農産物」で海外業者を儲けさせる事態になりかねない――。


 

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