【コラム】新型肺炎のウイルス経路はコウモリ→ヘビ→人間?
武漢コロナウイルスは、もともとはコウモリからきていると考えられていて、コウモリからヘビへ、ヘビから人間へと感染した可能性がある。
コロナウイルスは人獣共通ウイルスだ。つまり、動物から人間へと感染が広がる。生鮮市場では生きているまたは死んでいる動物 ── 犬、鶏、豚、ヘビ、シベットなど ── と人間の距離が非常に近く、ウイルスの種を超えた感染が起きやすくなっている可能性がある。
中国で感染が拡大している新型肺炎と、2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)には2つの共通点がある。どちらもコロナウイルスが原因で、生鮮市場でウイルスが動物から人間へと感染した。
武漢コロナウイルスの感染は今も拡大し続けている。専門家は感染源となった動物をまだ特定していないが、いくつか候補を挙げている。中国の科学者たちが武漢コロナウイルスの遺伝子コードをその他のコロナウイルスと比較したところ、中国のコウモリのコロナウイルスと最も近いことが判明したという。
遺伝子のさらなる解析を進めたところ、武漢コロナウイルスの遺伝を構成する要素がヘビによく似ていることが分かったのだ。そのため、研究者らはコウモリのウイルスがヘビに感染したと考えている。そして、このヘビが武漢の華南海産物市場で売られていたことで、ウイルスが人間にうつった。
「世界保健機関(WHO)がまとめた、優先すべき感染症のブループリント・リストに載っているかなりの数のウイルスがコウモリと直接もしくは間接的にリンクしていることが分かっている」とミュンスター氏は言う(SARSやMERSのウイルスもこのリストに含まれている)。
2017年のある研究によると、コウモリは他の哺乳類に比べて、人獣共通ウイルスを持っている割合が非常に高いという。専門家は、コウモリの飛行範囲は広く、いろいろなところから病気を運んでいる可能性があると考えている。コウモリのフンが果物に落ち、その果物を他の動物が食べると、その動物がウイルスを運んでいくのだ。
生鮮市場では、買い物客と露店や生きているまたは死んでいる動物との距離が非常に近く、これがこうした市場を人獣共通感染症の温床にしている。
シカゴ大学医療センターの感染病専門医エミリー・ラングドン氏によると、「地域の文化的背景から、人々は自分の購入しようとしている動物が目の前で食肉処理されるところを見たいと考えていて、そうすることで自分がお金を払ったものが受け取れると確認できる」という。「つまり、買い物客の前にはたくさんの皮をはいだ、死んだ動物が並んでいて、その結果、あらゆるものが浮遊している」のだ。
武漢では1月22日、当局がこうした生鮮市場での生きた動物の販売を禁止した。新型コロナウイルスの流行が始まったと考えられている海鮮市場も封鎖されている。
ただ、武漢コロナウイルスの流行はまだパンデミックとは見なされていない。中国は感染の拡大を食い止めるため、武漢とその周辺都市を閉鎖したが、WHOは23日、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態の宣言を見送った。
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