「イタチが家に住み着いてしまったけど業者に頼むと高い」。そこでネットを検索してみたところ、バルサンがイタチを駆除するのに効果があると書いてあった。
バルサンはホームセンターなら1,000円くらいで売っているので手頃だし、試してみようかなと思ったけど、ふと「本当に効果あるの?」という疑問が出てきた。
そんな人に向けた記事です。
結論から言うと、素人の人がイタチを駆除しようとしてバルサンを使うのはおすすめしません。
イタチを駆除しようとしてバルサンを使ったけど悲惨な結末を迎えてしまう人が多いです。
本記事では、イタチを駆除するのにバルサンをおすすめしない理由、使った人の末路などを解説していきます。
記事を読むとバルサンを使ったイタチ駆除での失敗を避けられます。
目次
「バルサンでイタチを駆除できる」というウソ
「バルサンでイタチを駆除できる」というのはウソです。
駆除とはOxford Languageによると“害になるものを追い払い、また殺して取り除くこと。”と記載されています。
確かにイタチが屋根裏部屋にいるときにバルサンを焚けば、イタチは逃げていくでしょう。
しかし、それは屋根裏部屋に人がいけばイタチが逃げていくのと一緒で、一時的にいなくなるだけで、それを「駆除」とは言いません。
そもそもイタチは鳥獣保護管理法や狩猟法の対象で捕獲することや、殺すことは禁止されているので、駆除すること自体が違法となる可能性があります。
(オスのイタチの場合は条件を満たせば捕獲可能ですが、自治体への申請など面倒な手続きがあり、素人が手を出せる世界ではありません。)
バルサンでイタチを駆除できない理由
バルサンでイタチが駆除できない理由を、その効果の面からも解説します。
バルサンでイタチを駆除できない理由は4つ。
1. イタチの殺傷効果はない
そもそもバルサンにはイタチを殺すほどの効果はありません。
例えば多くの人が家庭で使う水タイプのバルサンの説明書には以下のように書かれています。
① 哺乳動物への安全性が高い成分を使用。
用法・容量を守ってご使用いただければ、乳児や小さなお子様がいても安心です。
※人によっては弱い皮膚刺激性がありますので、ご使用後は掃除機をかけてください。② 充分な換気で成分はほぼゼロに
使用後30分の換気で成分が殆どゼロになり、微量残った成分も光などで分解してなくなります。
なので、ご使用後は拭き掃除不要!!
※家具、壁などが気になるようでしたら軽く乾拭きをしてください。
バルサン説明書
上記のとおり安全性の高い成分を使っているので、害虫などを駆除する効果はあっても、イタチを駆除することはできません。
驚かすことはできたとしても、殺傷効果はないのです。
(イタチは保護動物の対象ですので捕獲することや殺すことは、特別な許可を得た場合以外は、法律で禁止されています。)
2. 屋根裏の気密性がないと意味がない
バルサンは煙を充満させて害虫などを駆除するタイプの製品です。
なので、気密性がないと害虫にすら効果を発揮しないことがあります。
部屋の中は人が住むために構造上、一定の気密性を確保しているものですが、屋根裏は必ずしも密閉空間とは言えません。
古い家になってくると、すき間だらけでバルサンの煙が出てくるそばから、外に漏れていき全く効果がないことも。
家の作りによっても違うので一概には言えませんが、屋根裏でバルサンを焚いても気密性がなく効果を発揮しないことがあると覚えておきましょう。
3. イタチがいないと効果はほとんどない
バルサンの煙がイタチの駆除に効果がないことはに解説したとおりですが、例え効果があったとしても、そもそも煙が出ているときにそこにイタチがいないと効果はありません。
そしてバルサンは使用後、煙が出るのが、たったの10分くらいです。その後、煙は使用した空間に漂いますが、2~3時間もせずに消えます。
もちろん、バルサンを使おうと屋根裏に行った時点で多くの場合、イタチは逃げてしまうので、効果を発揮させるのは難しいでしょう。
4. 消臭効果がない
イタチは糞を同じところになんどもする習性がありますが、それはマーキングの効果もあります。
この臭いはイタチにとって目印になるとともに、他のイタチを引き寄せることも多いです。
イタチを家から追い出しても、また次から次へと違うイタチが来るのは、このマーキングの臭いが関係すると言われています。
そして、残念ながらバルサンには、イタチがしたマーキングである糞の臭いを消す効果がほとんどありません。
バルサンに驚いて、イタチが出て行ったとしても、また臭いに引き寄せられてイタチが寄ってくる可能性は高いです。
【危険】イタチ駆除にバルサンを使った末路
バルサンを使って実際にイタチを駆除しようとして失敗した例を次に紹介します。
1. イタチの子供がいるときは絶対に使わないでください
イタチの子供がいるときには絶対にバルサンを使わないでください。
バルサンを使うと親が子供を狭いすき間などに避難させて、後から助けられなくなって死んでしまいます。
壁のすき間などに落ちてしまうと、取り出すのも大変です。
バルサンを焚いたときは駆除したと思っても、あとになって腐敗臭で死骸に気付くという場合もあります。
それに単純にイタチの赤ちゃんを殺してしまうのは、ちょっとかわいそうですよね。
2. 害虫が天井から落ちてくる可能性があります
バルサンを屋根裏で使うとゴキブリやムカデなど、害虫が上から逃げ出して落ちてくることがあります。
なので害虫も駆除したいのであれば、部屋でももう1回バルサンを使うことになります。
準備をせずに屋根裏でバルサンを使うと、害虫が上から落ちてくる可能性が高いです。
虫が嫌いな人にとっては悲劇ですよね。
3. 食器や電化製品を養生しないと大変なことに
バルサンを使う場合、食器や電化製品を養生する必要があります。
食器は洗えばいいので、まだなんとかなりますが電化製品は場合によって壊れてしまいます。
そこまで神経質になる必要はありませんが、カバーくらいはしておかないと後で後悔するかもしれません。
4. ペットを飼っている場合は気をつけましょう
ペットを飼っている場合はバルサンを使うのは気を使いますよね?
バルサンがイタチなどの哺乳類を殺すほどの毒がないとはいえ、フェノトリンという殺虫剤成分が入っていることは確かです。
フェノトリンはアメリカなどでは、特に猫への使用が問題視されている中毒性のある薬剤と言われているので、ペットを飼っている場合は注意しましょう。
バルサンを使うときは避難させる、使用後はしっかりと換気をして、拭き掃除をするなどの対策を実施してください。
バルサンでイタチを駆除しようとするのはやめましょう
素人がバルサンを使ってイタチを駆除することは、非常に難しいことをおわかりいただけたと思います。
確かに業者に頼むよりお手軽で料金もかからないように見えますが、実際は駆除できないどころか、思わぬ2次被害が出てしまう可能性があります。
どうしても自分で対策をしたいというのであれば、赤色灯やLEDライトを屋根裏で光らせる、あるいは忌避剤を使うなどの対策の方が危険度は少ないです。
そういった対策をしてもイタチを追い出せない場合は、早めにプロの業者に相談するのが良いでしょう。
「餅は餅屋」ということわざがありますが、害獣駆除は特に動物相手なので、専門的な知識と経験がないと難しいものです。
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