ネズミは私たちの生活環境に潜む害獣の一つで、さまざまな感染症を媒介する可能性があります。
ネズミによる健康被害の主な原因は、大きく2つに分けられます。
一つはネズミの体液や糞尿に含まれる病原菌や有害物質を体内に取り込むこと、もう一つはネズミに寄生するダニやノミに刺されることです。
本コラムでは、特に前者の原因によって発症する病気について、それぞれの特徴や症状を詳しく解説し、予防策を具体的に紹介します。
Table of Contents
ネズミが原因で起こる病気│1. 食中毒(サルモネラ感染症)
ネズミの体内や排泄物には、サルモネラ菌が多く含まれています。この菌が人に感染すると、食中毒を引き起こし、以下のような症状が現れます。
- 主な症状: 発熱、嘔吐、腹痛、下痢
- 重症化リスク: 小さなお子様や高齢者は、症状が重くなる可能性があります。
適切な衛生管理や食材の保管・調理方法を徹底することで、感染のリスクを軽減できます。
<予防策>
- 食材を密閉容器で保管し、ネズミが近づけないようにする。
- 台所や食器類を清潔に保つ。
- 食品を十分に加熱調理する。
ネズミが原因で起こる病気│2.腸チフス・パラチフス
腸チフスはチフス菌、パラチフスはパラチフスA菌が原因で発症します。この病気の特徴は、症状が段階的に進行することです。
- 主な症状:
- 初期: 体温が徐々に上昇し、40℃近くまで達する。
- 中期: 咳や下痢が現れるほか、重症の場合は意識障害や難聴を伴う。
- 後期: 高熱と微熱を繰り返す。
- 重症化: 合併症を引き起こし、死亡する場合もあります。
<予防策>
- ネズミの侵入経路をふさぎ、生活空間に入らせない。
- 清潔な飲料水と食品を確保する。
- 排水口やゴミ箱の衛生管理を徹底する。
ネズミが原因で起こる病気│3. レプトスピラ症(ワイル病)
ネズミの排泄物(特に尿)に含まれるレプトスピラ菌が、水や土壌を介して感染する病気です。
- 主な症状: 高熱、頭痛、目の充血、筋肉痛、黄疸など
- 重症型(ワイル病): 死亡率は20–30%とされており、早期の治療が求められます。
<予防策>
- 湿地や水辺で作業する際は、防護服や手袋を着用する。
- 皮膚に傷がある場合は、水や土に直接触れないようにする。
- 作業後は手や身体をしっかり洗浄する。
ネズミが原因で起こる病気│4. E型肝炎
E型肝炎ウイルスは、主に汚染された食品から感染します。日本国内では、野生のイノシシ肉を摂取したことによる感染例が報告されています。
- 主な症状: 発熱、悪心、腹痛、肝腫大、黄疸
- 注意点: 妊娠中の方が感染すると、重症化しやすいことが知られています。
<予防策>
- 野生動物の肉を食べる際は十分に加熱する。
- 調理器具やまな板を清潔に保つ。
- 生肉を扱った後は必ず手を洗う。
ネズミが原因で起こる病気│5. ハンタウイルス肺症候群
ハンタウイルス肺症候群は、ネズミなどのげっ歯類に咬まれたり、体液に接触したりすることで感染します。
- 主な症状: 発熱、嘔吐、下痢、急激な呼吸不全
- 致死率: 最大で50%
- 日本国内の発症状況: 現時点で報告はありませんが、海外では深刻な被害が出ています。
<予防策>
- ネズミの巣や糞尿に触れない。
- 清掃時はマスクや手袋を着用し、直接吸入や接触を避ける。
- ネズミが住み着きそうな場所を定期的に清掃し、侵入を防ぐ。
まとめ
ネズミが媒介する病気には、致死率の高いものも含まれています。
これらの病気を防ぐためには、自己判断で駆除を行うのではなく、専門の害獣駆除業者に相談することが推奨されます。
また、日頃からの衛生管理や生活環境の見直しが、病気のリスクを大幅に軽減します。
害獣駆除や衛生管理に関する不安や疑問がある方は、ぜひお気軽にプロにご相談ください。