- スーパートコジラミがなにかわかる
- トコジラミが再来のワケを知ることができる
- スーパートコジラミに効く殺虫成分がわかる
スーパートコジラミ(殺虫剤耐性トコジラミ)を知っていますか?
いま、日本ではトコジラミによる被害が再び広がっています。
一度は日本から一掃されたはずのトコジラミが、なぜまた再来しているのでしょうか?
本記事では、「スーパートコジラミとはなにか?」、「トコジラミ再来のワケ」、そして、薬剤耐性のついたスーパートコジラミにも効く殺虫剤について解説します。
記事を読むことで、スーパートコジラミの駆除にかかる労力や費用を無駄にせずに済むかもしれません。
目次
スーパートコジラミ(殺虫剤耐性トコジラミ)とは?
スーパートコジラミとは一言で言うと、殺虫剤が非常に効きにくいトコジラミのことです。
市販されている殺虫剤の多くは、ピレスロイド系と言われていますが、その殺虫成分に抵抗性があり、死滅しないトコジラミのことをスーパートコジラミと言います。
スーパートコジラミは、体内で殺虫成分を分解する非常に厄介な害虫です。
なぜ、いまトコジラミは再来したのか?
トコジラミは戦後まもなく日本各地に流行したものの、その後1970年代に有機塩素系(DDT)の殺虫剤が使われるようになると、日本からは、ほぼ一掃されました。
そのため長らく、日本でトコジラミに悩まされる人は、ほとんどいなかったのですが、昨今、改めてトコジラミが再来しています。
日本にトコジラミが再来した理由はDDTなどの有機塩素系の殺虫剤が使用禁止になったことが主な理由ですが、そのほかに以下のことが考えられます。
- 海外への渡航者の一般化・増加
- 訪日外国人の増加
- 交通手段の発達
以下に詳しく解説します。
トコジラミが日本に再来した理由① | 海外への渡航者の一般化・増加
トコジラミが日本で増えている理由の1つとして考えられているのが、日本人の海外への渡航の一般化です。
グローバル化、旅行費用の低下などにより、1970年代、日本からトコジラミが一掃されたころと比べると海外への渡航者の数は圧倒的に多くなっています。
日本政府観光局のデータによると、1970年代の日本人の海外渡航者数が100~300万人なのに対して、コロナウイルス流行前の2019年は約1,780万人です。
日本からの海外渡航者が、海外からトコジラミを持ち帰るケースが増えていることが、日本でトコジラミが増えている原因の1つと言えるでしょう。
トコジラミが日本に再来した理由② | 訪日外国人の増加
日本人の海外渡航も増えていますが、日本政府の観光立国戦略などもあり、訪日外国人も増加の一途をたどっています。
その増加数は、日本人の海外渡航者数の増加数よりも多い状況です。
1970年の訪日外国人数が約55万人に対し、2019年はなんと3,193万人と約60倍。
日本人が海外からトコジラミを持って帰るのと同じように、訪日外国人も知らずにトコジラミを持ち込んでしまうケースは当然増えています。
トコジラミが日本に再来した理由➂ | 交通手段の発達
交通手段の発達は、日本と海外をより身近にして、その行き来を容易にしていますが、それは国境を跨いでの話だけではありません。
国内の旅行にも言えることです。
そのことにより、トコジラミが日本各地に拡がりやすくなっています。
例えば服にトコジラミがついたまま、出張や旅行に行くことで宿泊先のホテルにトコジラミを持ち込んでしまったり、新幹線などの座席に落としてしまったりすることで各地に拡がっていきます。
交通手段の発達により、当時とは比べ物にならない範囲にトコジラミが簡単に拡がってしまうのです。
【トコジラミに効く!?】ピレスロイド系の殺虫剤とは?
ピレスロイドとは除虫菊(シロバナムシヨケギク)に含まれる天然の殺虫成分ピレトリンに由来しています。
ピレトリンに似た化合物ということで、ピレスロイドという言葉が生まれました。
日本人にとっては、金鳥の蚊取り線香が、1番なじみのあるピレスロイドが使われている製品ではないでしょうか。
即効性があり、安全性も高いため、世界中で害虫駆除のために使われてきました。
現在も多くの会社で、研究者が日々ピレスロイドの研究開発に取り組んでいます。
もちろん、トコジラミにもピレスロイド系の殺虫剤が使われてきましたが、昨今、このピレスロイド系の殺虫剤に耐性をつけたスーパートコジラミが出現して社会問題化しています。
なぜスーパートコジラミにピレスロイド系の殺虫剤が効かなくなったのか?
上記でも解説したとおり、トコジラミは世界中でピレスロイドの殺虫剤により駆除されてきました。
しかし、中には殺虫剤にある程度強い個体が、トコジラミの中に現れて生き残ります。
そうすると生き残った個体から、繁殖して殺虫成分ピレスロイドに耐性のある個体が生まれます。
この繰り返しが何度も何度も起こることで、生き残った個体の中には、ピレスロイドに対する完全な耐性をつけたトコジラミが生まれる訳です。
それがスーパートコジラミです。
スーパートコジラミ(殺虫剤耐性トコジラミ)に効く殺虫剤とは
ピレスロイドは広く普及しているため、ピレスロイドが効かないとなると、一体どのような殺虫剤を使えば良いのでしょうか?
結論から言うとスーパートコジラミに効く殺虫剤はプロポクスル(カルバーメート系)もしくは、メトキサジアゾン(オキサジアゾール系)の有効成分を含むものです。
有効成分の表記は非常に難しく、専門家でもないと読み解くのが難しいので、詳しくは店頭でご確認ください。
他には殺虫剤ではありませんが、トコジラミは熱にも弱いので熱湯やアイロン、乾燥機などでも駆除することは可能です。
詳しく知りたい方は以下の記事を読んでみてください。
スーパートコジラミは自分で駆除できるのか?
結論から言うと、スーパートコジラミを自分で駆除するのは、非常に難しいです。
そして、そもそも、そこにいるトコジラミがスーパートコジラミか普通のトコジラミかの見分けはつきません。
そのため基本的には、よほど「自分でなんとかするんだ!」という強い意志と、ある程度の害虫駆除の知識がない限り、プロの業者に依頼するのがおすすめです。
また業者を選ぶ際には、必ずスーパートコジラミの対策を知っている業者に依頼してください。
中にはピレスロイド系を散布したけど、相手がスーパートコジラミだったので効かずに、「料金だけ請求された」というケースもあります。
それとは逆に、業者の杜撰な作業を薬剤のせいにしているパターンにも注意が必要です。
スーパートコジラミ(殺虫剤耐性トコジラミ)を駆除するのはプロでも難しい現実
スーパートコジラミを駆除するのは、熟練の業者でも苦労します。
相当な知識、入念な準備と丁寧な薬剤散布などを駆使しなければいけません。
しかも、ある程度の期間を空けて2度の駆除作業をしてやっと、トコジラミを死滅させることができます。
市販の殺虫剤が効かないスーパートコジラミは、その数を増やしています。
もし、トコジラミのような虫を見かけたら、スーパートコジラミかもしれません。
早めにプロに相談することをおすすめします。