害鳥ってどんな鳥のことでしょうか?
害鳥は人に害を与えるか、与えないかなどの視点で定義されますが、実は時代、場所などによって変わります。
本記事では、そんな害鳥の定義、害鳥の種類について解説します。
また、それぞれの害鳥による被害にどんなものがあるのかも併せて説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
害鳥とは人が勝手に定義しているもの
害鳥には明確な定義はなく、人にとって迷惑か、害を与えるか、そんな観点で害鳥かどうかが判断されています。
直接的な害だけでなく、生活環境、ペットや農産物への悪影響も害鳥かどうかの判断基準になっています。
また時代や場所によっても害鳥か否かも変わってくるので明確に、「この鳥は害鳥だ」みたいなものはありません。
簡単に言うと、人が害鳥だと思えば害鳥になります。
「勝手だな」と思いますが、それが実態です。
人間が害鳥にしてしまっている
カラスは害鳥として上げられる鳥、No.1ですが、カラスは元々山に住むとても賢い鳥です。
人が野山を開発したり、元々住んでいた場所を住めなくしてしまったことにより、人間との接点が多い都会にも出てくるようになったと言われています。
元々の雑食性、そしてその賢さにより害鳥として認定されてしまったのです。
頭がとても良いので、ゴミ袋を開けて食べたり、中々駆除もできなかったり、そんなところから厄介な鳥として扱われています。
色の黒さも人がカラスを嫌う要因の1つとして大きいでしょう。
鳩も人が必要以上に高いカロリーの餌を与えることで、どんどん繁殖して害鳥となってしまっているのが実態です。
人間が害鳥にしてしまっているという側面も考えられるでしょう。
都会と田舎では違う
「人が害鳥だと思えば害鳥」と記載しましたが、田舎の方では都会と比べて害鳥に関して寛容に接しているようです。
例えばカラスは、田舎ではそれほど忌み嫌われる存在にはなっていません。
もちろん、農作物への被害という面では、カラスは農家にとっては害鳥なのですが、都会の人と比べるとおおらかに見ている節があります。
猪、猿、イタチにハクビシンなど、他にも害獣と言われる動物が存在することもありますが、そもそもカラスの食料となるものが豊富なので、それほど大きな被害が出づらいことも要因でしょう。
田舎ではゴミを路上に放置するということもあまりないため、ゴミがカラスに荒らされて散乱するという見た目の悪さもないからかもしれません。
鳩、スズメ、ムクドリなど都会では害鳥と言われる鳥も田舎では、気にする人すらほとんどいません。
時代により変遷する
害鳥として認定されることが1番多いカラスは、元々日本では吉兆を示す鳥として扱われていました。
八咫烏(やたがらす)は神武天皇を導いたという神話も残っています。
サッカー日本代表のシンボルマークとして有名ですね。
都市部などの開発が進み、人間とカラスが同じテリトリーで住むようになってから害鳥に変わったのでしょう。
また黒が不吉という欧米の魔女に対する恐れ(魔女が買っている黒猫)が輸入され、カラスの黒も嫌われるようになったという説もあります。
元々黒猫は、日本では福の象徴として好かれる存在だったのですが……
ムクドリなども、最近までは害鳥と思われていなかったのではないでしょうか?
害鳥という定義は時代とともに変わっているのです。
害鳥の種類
いろいろな事情はあるにせよ、現在害鳥としてイメージされる鳥がいるのも事実です。
そこで以下に害鳥として一般的に認定されている代表的な鳥を4種類紹介します。
カラス
害鳥として人から嫌われている鳥No.1 はなんといってもカラスでしょう。
カラスはゴミ袋に入ったゴミを食い荒らしたり、人を威嚇したり、またその黒さと大きさで怖いと思う方も多い鳥です。
1度人間の残した残飯の味を知ってしまったカラスを追い払うのは、至難の業です。
非常に賢いため、駆除作業も1番難しく時間のかかるのがカラスと言われています。
駆除業者も様々な方法で駆除しようとするのですが、その方法を覚えて裏をかく行動をする非常に厄介な存在です。
ちなみに人を威嚇するのは、ほとんどのケースで子育て中のカラスです。
無意味に威嚇しているわけではないので、「あ、近くに巣があるんだな」と意識して、その場から静かに離れるなど、冷静に対処すれば、それほど怖いことはありません。
鳩
鳩が害鳥として扱われる理由の1番は糞害でしょう。
公園や駅前、ホームの上など外であればまだいいのですが、自宅のベランダや屋根などに巣を作られると非常に面倒です。
鳩の声による騒音被害はまだ我慢できたとして、洗濯物を汚されたりするのは我慢できないですよね。
また鳩の糞には様々な菌やカビも含まれているため、衛生的にもよくありません。
繁殖力が旺盛で、帰巣本能も強いため、ちょっと追い払ったくらいでは、ほとんど効果がなく、戻ってきます。
鳩にエサをあげている人ともめる人がいますが、ここら辺に原因がありそうですね。
スズメ
スズメを害鳥と認識している人はどれくらいいるのでしょうか?
スズメはカラスと比べると見た目がかわいらしく、害鳥というイメージとは、かけ離れているように見えます。
でも、スズメは農家にとっては立派な害鳥です。
特にお米を栽培する農家にとっては天敵のような存在です。
スズメは雑食ですが、特にイネ科の種子、つまりお米の稲穂部分を食べてしまうのです。
案山子(かかし)はスズメを避けるために作られたと言われているくらい、昔からスズメは稲作農家にとっては害鳥なんですね。
またスズメは小さい割りに賢く、頭の良さは猫と同等で駆除が難しい動物の1つでしょう。
都会では、群れて電線の上に集まると糞害などがありますが、他の害鳥と比べると害は少ないです。
ムクドリ
ムクドリは日本全国どこでも生息する体長25㎝程度の鳥です。
昔の農家にとってムクドリは害鳥どころか、田畑の虫を食べてくれる益鳥でした。
ムクドリは1年間で食べる虫の量は百万匹を超えるそうです。
そんな昔の日本では重宝されていたムクドリですが、開発が進むに連れてムクドリが住む場所はどんどん減っていき、山奥などに住むことのできないムクドリは都市部などに住むことになります。
街路樹、民家の軒先、ビルの隙間や電柱、そんなところに集まるようになり、その鳴き声や糞による被害を訴える人が多くなり、現在は害鳥と認定されてしまいました。
その他の害鳥
カモメ(ウミネコ)、カワウ、サギなども害鳥として扱われることがあります。
カモメは漁師が捕った魚を食べたり、その上に糞をするのが問題です。
カワウも放流した魚を捕食、サギの場合は繁殖に集団として集まる習性があるので、その糞による害で、害鳥として困っている人がいます。
ただ、いずれの鳥も都市部で住む人には、あまり関係がないので害鳥として注目されることはあまりありません。
害鳥による被害
個別の害鳥についての解説でも触れましたが、害鳥による被害は以下の3点が主なものです。
- 糞害
- 騒音
- 食害
これらの被害は、危険性という意味では低めでしょう。
熊に襲われる被害、アライグマなどの狂犬病などと比べるとという意味です。
しかし、実際に被害に合っている人の悩みは深いです。
「鳴き声で夜寝られない」、「ベランダで服を干すと汚される」、「いつもゴミ捨て場を荒らされる」など、快適な生活を送ることを地味に阻害されます
危険性が低いからといって決して放置できる被害でもないのが現状です。
害鳥との共存
こうしてみると、害鳥として認識されている鳥は全て、昔は害鳥では無かったことがわかりますね。
そもそも害鳥という言葉があったかどうかすら定かではありません。
とはいえ、その被害に悩んでいる方もいるのが現状です。
上手く共存していく方法を模索していけるといいですね。
※害鳥に指定されている鳥たちですが、鳥獣保護法により保護されています。
駆除する際は、プロの業者に相談しましょう。